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鬼神と子鬼

それからはもうまさに鬼神のごときって感じだった 一対多数でも猛さんが負けたりなんてことはなくて昔のまま強い猛さんで気持ちが高揚して顔が赤くなった 「くそっ…!!おい!!あいつら捕まえろ!!人質捕まえなおせば済む話だろうが!!」 「「「お、おう!!」」」 ちんちくりんと一緒に猛さんを応援してたらこっちのことを思い出した取り巻の一部がそんな事を言ってこっちに向かってきた その時つんつんっとちんちくりんが後ろからおれを突いてきた 「ねぇねぇ、若葉ちゃん」 「………なんスか…」 「おれね、足早いんだ」 「そうスか」 「若葉ちゃんもさ、逃げ足早そうだよね」 「馬鹿にしてんスか?」 ちんちくりんが走る?走る?って感じでソワソワしてる こっちに向かって来た奴らは体こそ大きかったけどのろまでどんくさそうだったのしのしとこっちにかけてくる ケッ…ここは猛さんの舎弟としてかっこよくがつんと一発かまして…… 「オォォォォォラァァァァァァァ!!!!!!!」 「待てやぁぁぁぁぁぁあ!!!!」 「ギャァァァァァ!!!!」 「わぁ…!!若葉ちゃんはやいねぇ…おれも走る!!!」 「待てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「ギャアアアアアアアアアアア!!!!」 「きゃあああああああああ!!!!!!」 生きるための逃げはありありだとなんかのマンガで読んだ… これは生きるための逃げ…いや、戦略的撤退だ… 「若葉ちゃん若葉ちゃん」 「なんスか!!!」 「おれかけっこ負けたことないんだ!!」 「だからなんスか!!」 「きゃああああああああああああああ!!!」 「無視スか!?」 ちんちくりんは危機感がないのか楽しそうだった… でもおれらを追いかけてきた奴らはやっぱりノロマなやつらしくてもうヒィヒィ行ってた 向こうの方では猛さんが複数出かかってくる相手をちぎっては投げちぎっては投げ…もちろんたとえだけど…とにかくしてた 猛さん…… 猛さんはあんなにケンカしたくないって言ってたのに…おれのせいで… そう思うと罪悪感が募った

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