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DNA
「初めまして、銀の兄の頬付金です」
「…………」
あまりに顔が銀に似てたのと端整な顔だったのとで見とれてしまった
俺は一人っ子だから兄弟はいないけどよく顔の感じは母さんに似てるって親戚に言われて中身はちょっと父さん似って言われてた
絵に描いたように普通に遺伝して普通の顔に育った
でもこうやって見るといいDNAもちゃんと遺伝してるんだなあと思わざる得ない
…なんかずるい……
「なに?」
「あ、っや…なんでもない、です…」
そんな事を金さんの顔をじーっと眺めたまま考えてたら金さんが小首をかしげた
あ…お、れも…自己紹介しないと……
「あ、の…銀、と同じクラスの杉田学です」
「へぇ~スギタマナブくんって言うんだ~」
「あ、はい…」
慌てて自己紹介して頭を下げた
金さんは嬉しそうににこにこして俺を見てる
俺…この兄弟の笑顔すっごい苦手だ…ぞわぞわする……
そう言えば金さんは俺と銀が付き合ってること知ってるのかな?
銀に助けを求めるけど銀は相変わらずそっぽを向いてた
そういえば仲悪いって言ってたけど…金さん、良い人っぽいのに?
………まぁ銀と同じDNAだから「~っぽい」は信じないけど…
「銀ね~ひどいんだ、せっかく時間割いて会いに来たのに家には入れてくれないしスマホの番号も教えてくれないから連絡も取らせてくれないんだよ~、学くんから言ってやってよ~」
「はぁ…」
「………」
そんなに仲悪いんだ…
銀の事だから仲悪いって言ってももっと上手にかわしてるんだとばっかり思ってた
でもなんか今銀はばつが悪そうに何も話さない
金さんがそんな銀に意味ありげな含み笑いでクスッと笑って「ねー」って言ってる
いつもの銀は嫌いな相手のこんなこと言われたら皮肉や嫌味言いまくってただろうに今回はただじーっと耐えてるって感じだった
「銀も話そうよ?学くん困ってるよ?」
「……やろ……」
「聞こえないよ?」
「もうええやろ…」
「ふ~ん?」
銀がやっと喋った
でもまだ金さんと目を合わせようとはしなくて逸らしたままだった
金さんは俺の苦手な感じの笑みを浮かべて楽しそうに銀を見てる
「……まな、いこ…」
「え、あ…し、しつれいしま…す…」
銀に手を引かれて金さんの隣を通り過ぎた
その時にちょっとだけ金さんと目が合ったんだけどなんだかゾッとするような目で俺の事を見てた気がした
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