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どこにも行かないで
「ねぇ、銀…」
「…………」
あいつが来た…
「銀…」
「…………」
兄貴が来た…
学校に…まなに会いに…
「銀!!」
「!!」
まなに言われてハッとした
いつの間にかもう駅についていてまなが心配そうにオレをみあげとった
頭がくらくらして息苦しい
「…ぎん……?」
「…………」
まながオレの顔をまっすぐに見つめてくる
何も考えられなかった
2週間ぐらい前に兄貴とあった日みたいに頭がぐしゃぐしゃして、不安で、どうしたらいいかわからなかった
まなになんて説明したらええんやろう…
できれば兄貴のことも、兄貴とのことも話したくなかったけどでもまなをこれ以上不安にさせたり我慢させたりするのも嫌でそんな考えが頭の中でグルグルして余裕がなかった
どうしたらいいかわからなくてまなの顔も見れなくてそんなときにまなが先に口を開いた
「なぁ…銀、まず家行こう…?」
「…………」
「大丈夫だよ、どこも行かないよ…」
「………」
「帰ろう?」
「………」
まながオレの手を両手で包んで揺らしながらそう言った
まなの方が不安そうな顔をして一生懸命オレの手を揺すっとる
なんだか子供をあやしてるみたいで変に吹き出しそうになった
まな…駅でこんなことしてたら見られるで…変に思われるかもしれないんやで…
でもまなはずっと手を握っててくれてじーっとオレの顔を覗きこんどった
「大丈夫だよ…」
「…………」
前の時もまながこういってくれたのを思い出した
まな変なとこで鋭い…
「どこも行かないよ」
「………」
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