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当たり前に好き

「金さん本当は少し銀に申し訳ないと思ってるんじゃないんですか……?」 学くんがまっすぐオレの目を見てそう聞く オレは銀に申し訳ないと思ってたのか…? 静香ちゃんに会ったのは本当にただの偶然だった いつもみたいにいろんなところへ気の向くままにフラフラフラフラしてたらたまたまもともと住んでいた所の近くに来たからその辺を回って懐かしいな~なんてしてたらこれまたたまたま大学生になった静香ちゃんに会った その時は暇してたし久々に銀に会ってみたいななんて思ったから静香ちゃんをけしかけるついでにオレもついて行って嫌がらせしてやろうと思った 銀と静香ちゃんがうまく行ったとこでまた前みたい静香ちゃんを奪うつもりだった… でも今考えると急にその考えがバカらしいような気がした 気がしたって言うかバカそのままだ… だってもし銀と静香ちゃんが元に戻ったら二人ともオレを警戒して絶対にまたあんな風にはなったりしない… いつものオレならそんな事はしないで静香ちゃんに銀の名前をちらつかせてゆすってヤらせてくれたら教えてあげてもいいなんて適当な事を言って… きっとそれと同じことを銀にもして…… なんだか自分がしたことの矛盾に気づいて拍子抜けてしまった 「オレは…」 学くんはもうオレを怖がってないみたいだった 「あの…普通に銀に謝ったらいいと思います…金さんのしたこと悪いことだけどでも結果的に銀、静香さんと話できたんですし…その、許してくれますよ…たぶん…」 「………」 「だから…謝りましょう…?」 こっちを憐れむような目で見て学くんが首をかしげる なんだか悔しかった そんな目でオレをみるな… 「……学くん…今銀の家には静香ちゃんが行ったんだよ…?」 「………」 もうオレは銀を貶めて、屈辱でゆがむ顔が見たいって思ってた事と、でも実は心の中で銀にもうしわけないと思っていた事の矛盾に気づいてしまっていた それでも意地を張って学くんにそんな事を言った 学くんの表情が一瞬陰る こんな時にこんなこと思う自分もホントにクズだと思うけどなんだか少しいい気分になった気がした 「…でも……」 ちょっと何か考えた後に学くんが顔を上げた 「俺…銀のこと信じてますから…」 「………」 不安そうな目をしながらもオレの事をじっと見据えてそう言った 不安なくせに…不安で銀が静香ちゃん選んだらどうしようって泣きそうなくせに… ………………………勝てない… そう思った きっと今オレが無理やりこの子を抱いてもきっとこの子は銀から離れたりしない… それがわかってしまった ふっと笑みがこぼれる 学くんはオレが笑ったのを見てなんだかきょどきょどしてた 「学くん、銀の事好き…?」 別に特に意味があったわけでもなくそう尋ねた 答えはわかりきっていた 学くんがちょっと首をかしげて答える 「当たり前じゃないですか」

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