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本当の気持ち
「なんで銀を選ぶんだよ…オレの方が何だってできるのに…」
「……?…」
ずーっと黙ってた金さんが口を開いてそう言った
さっきまで見たいな怖さはなかったけど感情をあらわにしてなんだか悔しそうだった
その言葉を聞いてふと昔のまだ小学校低学年だった時の事を思いだした
幼稚園の時から健斗と一緒で子供の時から健斗はかわいらしい感じだった
いっつもぶっすーっとしてた俺と違って愛想も良くて素直で子供らしくてかわいかったからいろんな人に好かれてた
そんなある日健斗がうちの家に遊びに来た
そしたら俺の母さんが特に意味もなく
「健斗くんは素直でかわいいわね~、うちの子いっつもぶっすーってしてて…学も健斗くんみたいだったらよかったのにねぇ」
って言った
別に母さんは本当にそう思ったわけじゃなかっただろうし俺も分かってたけどなんだかそれにムカッとしてその日いつもみたいにニコニコして遊んでた健斗に意地悪して健斗とケンカした
その時俺も『俺の方が何でもできるのに…』って思った
「……あ…あの…」
「………んだよ…」
「あ、の……金さんは…銀が羨ましいんですか…?」
「………」
素直にそう思った
もう金さんがさっきみたいな乱暴な雰囲気じゃないから聞いてみる
金さんは一瞬だけ驚いたような顔をして目をパチパチしてた
その顔はちょっと銀と似てた
「そんなわけ…」
「あの…なんでこんなことするのかなってずっと思ってたんですけど…それって銀が羨ましいからなんじゃ…ないんですか?」
「………」
なんだか混乱しているような顔をする金さんに追って尋ねる
銀にいっつももっと人を疑えって怒られるけどもしかしたら金さんはそんなに悪い人じゃないのかもしれないって思えた
そしたら銀ももう嫌な思いをしなくても済む…
「でも…その…ちょっとは悪いと思ってたから今回静香さんに銀の住所教えたんじゃないんですか…?」
「…………」
金さんは黙ったままだった
だってもし金さんが銀に嫌がらせしたり俺を銀と別れさせたいんだったら静香さんに銀の住んでるところを教える必要なんてないし…
静香さんと銀をもう一回くっつけようとする必要もないんだ
志波みたいに俺にいい顔してからひどいコトしたり、前の時みたいに銀にひどいことしたらいいのにしなかったんだ
「金さん本当は少し銀に申し訳ないと思ってるんじゃないんですか……?」
何となくだけど金さんに親近感を覚えた
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