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『初めて』から一年
「…あぁ!!…また負けたぁ…!!」
「先輩顔に出過ぎッス…」
「猛がわからなすぎるだけだもん!!」
今日の昼間…
勇気を出して紺庄先輩に二人っきりが良いと伝えて紺庄先輩もその意図を介してオッケーしてくれたんだと思ってた…
要するにその…
せ…せっくす…とまで行かなくても…その、恋人らしいこと…というか…そういうことをするって言うあれで…
でもそう思ったオレが間違いだった…
考えてみればそうなんだ…先輩はちょっとそう言う方面への知識が浅い…
「はぁ……」
手に数枚のトランプを持ったままがっくりと肩を落としてため息をついた
『二人っきり』でトランプ…
なんだか勝手に期待したオレがバカみたいじゃないか…
そう思って一人で恥ずかしくなってると膝の上に何かの重みを感じた
目をあけて見るとオレの腿に紺庄先輩が頭を乗せてのびーっと伸びている
先輩はくあ…っと小さい口をめいっぱい広げてた
……かわいい…
ムラッとなんだか変な気分が湧いた
「うー…猛の膝枕硬いねぇ…」
「……スイマセン…」
「しずちゃん先輩と美香ちゃんのが柔らかくて気持ちい…」
「…………」
「でも猛のが一番好きー」
「…………」
にーっと笑ってそう言って先輩はぎゅっとオレの腰に腕をまわしてちょうどオレの腹の位置に顔を埋めてぐりぐりした
…ちょっと…コレ…下半身に、なんか…響く…
………ダメだ……平常心…平常心…
すぅっと深く深呼吸して先輩の背中を撫でてみる
先輩はん~っと気心地よさそうな声を出した
さっきドライヤーで乾かしてあげた髪の毛が先輩の動きに合わせてふよふよ揺れる
しばらく先輩はオレの腹に顔を押し付けたりオレの背中を手で摩ったりしてたけどそのうちくるっと仰向けになってオレの顔をじーっと見つめて動かなくなった
「…?…先輩…?」
「…猛……」
「は、は…い…」
「好きー」
「………お…れもです…」
「ふふー」
先輩が手を伸ばしてオレの頭を撫でる顔同士が近くなってちょっと気恥ずかしい
……キスしたい…
「そ…の…先輩…」
「……なぁに?」
「キス…したい、です…」
「…いいよ…?」
先輩がキュッと目をつむる
ちょっとだけ唇を突き出してるのがかわいらしい…
あー…ダメかも…
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