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足りない。⑥裏

と、いうことが先週の金曜日にあったわけだが。 どういうことだろう…? 今日、月曜日になって彼方はいつも通りに戻っていた。 不機嫌でもなければ、あの禍々しかった負のオーラもすっかり消え去っている。 「…なぁ、あれは結局何だったわけ?」 クラスのざわめきの中、この前と同じように前の席に俺、後ろの席に彼方が座り久々の、久々の!まともな会話をする。 (あれ何気に傷付いたからな…) 「は?何の話だよ。」 「この間からお前の機嫌が悪かった理由!」 「?…別に俺機嫌悪くなかったけど。」 「嘘つけ!あからさまだったじゃないかよ!!!」 「そうか?」 自覚なしかよ… 先週までとはうって変わって明らかに元気に、と言うかむしろ上機嫌な彼方。 この土日で何かがあったとしか思えない。 「なんだよも~、心配するだけ無駄だったじゃんかぁ…!!」 うでをのばして机に顔を伏せると 「そうカリカリすんなよ、カルシウム足りてないんじゃないか?」 と彼方が飲んでいたパックの牛乳を渡してきた。 「それはお前だっつの!!!あと飲みかけなんて要らねぇし、そもそももう無いじゃん!!!ゴミじゃん!!!」 「え?まだあるだろ、3ミリくらい。」 「もぉぉおおお!!!」 「もうもう言ってると牛になるぞ?」 「うるさい!!」 すると ♪~♪♪~… 彼方のスマホから呼び出し音が鳴った。 「はい、もしもし」 彼方がスマホを耳に当てながら教室を出て廊下に。 その時、チラッと「長谷部さん…昨日はありがとうございました。」という声が聞こえてきて 俺は内心やっぱり何かあったんじゃんか…と思いつつも、彼方が照れくさそうに笑っていたから (ま、元気なら何でも良いか。) なんだかどうでもよくなってしまった。

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