22 / 34

番外編 ハッピー?バレンタインデー

「…………なぁ、かなt…「無いからな。チョコ。」……。」 2月14日。 今日は世に言うバレンタインデー。 俺と彼方は男同士と云えど、仮にも恋人という間柄な訳で。そうなるとやはり期待もするというもので。 多少なりともドキドキしながら彼方を迎えに行った帰り道。 開口一番に彼方が言った。 隣に並んで歩く彼方をじとっ…と見つめる。当の本人は一切こっちを見ようとしない。 ( フッ…わかってたさ……コイツはそういう奴だよ……) 知ってた…。知ってたけど、やっぱ欲しかった…… 悲しいかな。男というものは来る筈がないと分かっていながらも、当日になれば『もしかしたら』と思ってしまう生き物なのだ。 しばらくそうして目で訴えていたら、彼方がはぁ…と溜め息を吐いた。 「なに?俺が用意してるとでも思ってたわけ?そんな面倒臭いことするわけないじゃん?」 「…俺まだ何も言ってねぇよ…」 「顔に書いてあんだよ。いい年こいたオッサンがそわそわしてんなよ。キモいんだけど?」 キモいって…… 「…お前ほんと可愛くない。ちょっとは 用意してなくてゴメン とか 今からでも作るね とかないの?」 「何言ってんの?馬鹿なの?」 「なんなら『俺がプレゼントだよ』とかでも全然いいんだけど?」 「頭沸いてんのか?一回脳外科行って診てもらってこいよ。」 そう言うと彼方は俺を蔑んだ様な目で見てきた。 ふんっ、なんとでも言うがいいさ。俺はへこたれないぞ。 なんたって今日はヴァレンタイン。恋人の日だ。 そんな日にイチャイチャしないで何をしろって言うんだ!(今 仕事って言ったやつ、ちょっと黙ってようか。) どうにかして彼方をその気にさせなければ。 そしてあわよくば、あんなこと や こんなこと をさせて頂かなければ。

ともだちにシェアしよう!