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番外編 ハッピー?バレンタインデー
「…………なぁ、かなt…「無いからな。チョコ。」……。」
2月14日。
今日は世に言うバレンタインデー。
俺と彼方は男同士と云えど、仮にも恋人という間柄な訳で。そうなるとやはり期待もするというもので。
多少なりともドキドキしながら彼方を迎えに行った帰り道。
開口一番に彼方が言った。
隣に並んで歩く彼方をじとっ…と見つめる。当の本人は一切こっちを見ようとしない。
( フッ…わかってたさ……コイツはそういう奴だよ……)
知ってた…。知ってたけど、やっぱ欲しかった……
悲しいかな。男というものは来る筈がないと分かっていながらも、当日になれば『もしかしたら』と思ってしまう生き物なのだ。
しばらくそうして目で訴えていたら、彼方がはぁ…と溜め息を吐いた。
「なに?俺が用意してるとでも思ってたわけ?そんな面倒臭いことするわけないじゃん?」
「…俺まだ何も言ってねぇよ…」
「顔に書いてあんだよ。いい年こいたオッサンがそわそわしてんなよ。キモいんだけど?」
キモいって……
「…お前ほんと可愛くない。ちょっとは 用意してなくてゴメン とか 今からでも作るね とかないの?」
「何言ってんの?馬鹿なの?」
「なんなら『俺がプレゼントだよ』とかでも全然いいんだけど?」
「頭沸いてんのか?一回脳外科行って診てもらってこいよ。」
そう言うと彼方は俺を蔑んだ様な目で見てきた。
ふんっ、なんとでも言うがいいさ。俺はへこたれないぞ。
なんたって今日はヴァレンタイン。恋人の日だ。
そんな日にイチャイチャしないで何をしろって言うんだ!(今 仕事って言ったやつ、ちょっと黙ってようか。)
どうにかして彼方をその気にさせなければ。
そしてあわよくば、あんなこと や こんなこと
をさせて頂かなければ。
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