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第111話
「…お前、前からずっと吸ってたのか?」
「ううん、そうやなくて大和が…」
「大和?」
「……えっと、浅羽の早河…」
そう言った途端、若頭さんの目つきが変わった。
「早河が、何だ」
「…吸ってたのと、同じやねん」
「ふぅん」
ニヤッと笑った若頭さんは俺の手から煙草を取り上げて、俺を地面に勢いよく押し倒す。
「うつ伏せになれ」
「…は、ぁ?」
「早くしろ」
抵抗したらどうな目に合うかわからんし、言われた通りにしたら着物を無理やり肩の下までズラされて「なあ」と低い声をかけられる。
「俺といる時に、下らねえ話をするな」
「…下らん、とか、そんなんっ、あ!」
肩を噛まれて身を捩る、それにククッと喉で笑った若頭さんは、俺の髪をグッと掴み後ろから引っ張った。
「い、た…っ」
「許してくださいって言え」
「…はっ、誰が、言うか!俺、何も悪いことしてへんっ」
「そうかよ」
ボソッとそんな呟きが聞こえたのとほぼ同時
「あ゛ぁああああ!!」
「ほら、早く謝れ」
ジュッと音がなって焼けるような熱さが肩に刺さった。
さっき吸ってた俺の煙草。それを肩に押し付けられてるっていうのは見やんでもわかる。
「ご、め、なさっ、いた、痛いぃっ、痛いっ!!」
涙が溢れて床を濡らす。
スッと煙草を持ち上げられて、それでもなお焼かれた場所はズキズキして痛い。
「痛い、痛いっ」
「俺に従わねえからだ」
「いや、いやや、とって、これ、痛いの嫌やっ」
俺の上に乗ってた若頭さんが退いて、すぐに若頭さんに詰め寄ってそう言うと気分を良くしたのか、俺の頭を撫でながらドアの方に何かを言って、痛いと繰り返し泣く俺の耳元で「そうやって俺に縋ってろ」と囁いた。
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