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第112話

あの日から数日、肩の痛みも引いて、今は部屋で飯を食べてる。若頭さんは何かと俺に構ってくるから、ほら、今やって俺の持ってた箸を取って、ご飯を乗せて俺の口元に持ってくる。 「食え」 「………」 何の返事も返さんと口を開けるとご飯が口の中に入れられて、でもそのご飯を美味しいとは思わんくて。 「もうお腹いっぱい」 「…そうか」 日に日に少なくなっていくご飯の量が、自分で見ていて悲しくなる。ご飯が下げられて若頭さんに呼ばれ、すぐ傍に腰を下ろして軽くもたれかかる。 「どうした」 「…ちょっとしんどい」 「熱あんのか?」 額に若頭さんの手が触れる。 冷たい手が気持ちいい。 「寝てろ」 「…寝たない」 「寝転んでるだけでもいいから」 無理矢理寝転ばされて、頭を若頭さんの膝の上に乗せる。 体調が悪いからか、別に何もないのに涙が溢れてきて嗚咽を漏らす。 「泣くな」 「…泣きたくて、泣いてるんとちゃうもん…」 「前に、学校に行きたいって言ってたろ。そろそろ準備もできた、お前の体調が治れば明日にでも行っていい」 「ほんま…?」 「ああ」 俺の髪を梳く若頭さん、そっと顔を若頭さんの方に向けると優しく口元だけで笑って俺にキスをする。 「今のこの状況を誰にも話すなよ」 「…わかってる」 「浅羽の連中と連絡なんてとってみろ、この肩の傷なんかじゃ済まねえからな」 「…うん」 出来ることなら大和に会いたいけど「終わり」って言われたら俺から会いに行くこともできやんし、何より俺がここに来てもう一ヶ月以上経ってる、多分、俺のことなんてもうどうでもいいと思う。 「…若頭さん」 「……………」 そう言っても返事をしない若頭さん、唇を尖らせてるのが見えてフッと笑ってしまう。 「宗一郎」 「何だ」 「…俺のこと、酷く抱いて」 「熱あるだろうが」 「ええから」 若頭さんの首裏に片腕を回し顔を近づける。 キスをすると若頭さんにもスイッチが入ったのか俺の着物の裾から手を差し入れた。

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