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目が離せない。 体の底から細胞がザワザワと沸き立っていく。 渥が俺の体を組み敷き、視線を絡ませたままシャツを脱いだ。ベルトを外すリアルな金属音に、僅かな緊張が走る。 七年ぶりに見る渥の体は昔とは大違いで、すっかり大人の男の体になっていて無駄な贅肉などどこにもない。体まで芸術品のような美しさに、思わずゴクリと喉が鳴り無意識に手が伸びた。 しかし、渥は俺の手に自分の指を絡めてストップをかけると挑発的な表情で笑い、反対の手がベッド脇のサイドテーブルに向かう。 「睦人、この手はなに?」 テーブルの上には俺の財布と中身が散らかったままだ。身を屈めたことにより渥の体が接近し、普段なら思わないような欲求が口から飛び出していた。 「…さ、わりたい…」 「駄目」 しかし即座に却下されショックを受けた俺の頭を、渥が上半身を落としてゆっくりと一撫でした。 「お前が煽ったんだろ?俺の体触るよりもコレ付けさせてよ」 「あ…」 俺の頭を撫でた手、指先二本で掴んでいたのは正方形の薄い真っ黒なシート。それを口の端でピリリと器用に破く渥の動作をただジッと見つめていたらクスリと笑われた。 「コンドーム。避妊具。おわかり?」 「わ、わかるよ…っ」 小馬鹿にするような言葉を吐きながら、渥の視線と程よく筋肉のついた腕が下部に降りていく。独特の輪が浮き上がったそれが何なのか。残念ながら自らに使用したことは未だ無いが、降ろした腕の先で渥が何をしているのかなんて…乏しい知識の中でも理解できた。 動く渥の腕に、そっと手を添える。 「でも、それ…いらない…」 「いるでしょ。デキちゃうよ?」 「……」 「…孕ませて欲しいの?」 直接的な言葉にカァッと顔が熱くなった。そう言われると違う気もするが、渥を直に感じたいと本能が言っているのも確かだ。 だけど渥は薄く笑うとゴムを付け終えてしまったのか、両手を俺の膝に軽く添える。 「そんなことしたら亮太さん達に顔向けできないだろ」 「あ…ま、た、父さんたちのことばっか」 「いいから。足、もっと開いて」 ゆっくりと誘導するような台詞に、期待と不安にドキドキしながら俺は渥を招き入れる為、抵抗することなく己の足をそ…と開いた。 そんな俺の素直すぎる姿を見ながら、静かに口角を上げる渥 いつもの意地悪な笑みでも、猫のように人懐っこい笑みでもない。 その笑みは一体、今、何を思っているのだろう。

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