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第1話
空を見上げると瞬く星がたくさん見えていたがそれはもう見れなくなるかもしれない。
明日、卒業式なのに俺はこんな所で何をしてるんだろう?
仰向けに寝転がるそこは人気のない廃工場だった。
陽が暮れてからこんな廃工場に集まるのは迷惑をかけているグループの連中か車でイチャつく奴らぐらいだ。
先生に怒られるかなぁ〜。
何かあったら言えと言われてたのにごめんな先生を巻き込みたくなかったんだ。
「イテェ〜。先生に会いてぇ〜よ。」
声に出して呟いてみた。
喋ると左下腹部の傷に響いて息が出来なくなるくらいに傷みが体中を駆け巡った。
ゆっくりと瞼が閉じて行くそしてもう一度大好きな先生を思い出す。
「晴翔!」
「せん・・・ヴッ!」
はっきり聞こえたんだけど周りの音や声が遠くなり視界がボヤけて行くその中で目に映ったのは先生の必死に俺を呼ぶ顔だがすぐに見えなくなった。
きっとあまりにも先生の事が好き過ぎて幻聴とか幻覚を見たんだ。
それでも最後に会えて良かった。
ありがとうな先生。
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