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第8話

けれど、陽介が後悔したのは、その1年後だった。 桜が咲く時期だった。 ―――――黒沢が、死んだのだ。 事故だったと同級生から聞いたが、陽介には信じられなかった。亡くなった日にちは、陽介が高校を卒業した日と同じだった。  ヴヴッとコートの中のスマホが震えた。 樹からだった。 写真が何枚か送られていた。カラオケの一室で、卒業証書を持ちながら友人達と楽しそうにしていた。 陽介は穏やかに、そして、寂しそうに微笑んだ。

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