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第9話

※※※※※※※ 「ハリーちゃん先生、元気でな!」 「その呼び方やめろって言っただろうが」 初々しい卒業生が、陽介の名字の一部をもじって付けたニックネームを、大声で言いながら卒業証書の筒ごと手を左右に振った。陽介は眉間に皺を寄せつつ口許は笑っていた。 樹が卒業してから、 4 回目の卒業式が過ぎた。そして、先程 5 回目の卒業式が終わったところだった。 職員室に戻り、普段はあまりしないネクタイの結び目を緩めながら椅子へドカッと座る。すると、まだ1年目の男性職員が、「良い式でしたね。感動しました」と涙を軽く目に溜めながら言い、お茶を出してくれた。 礼を言って、陽介はコップに手を差し伸べた。その時、机の引き出しの中から小さなバイブ音がした。スマホだ。陽介は慌てて引き出しから取り、スマホの画面を見る。 ラインの通知だった。

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