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第16話

「卒業しても、いつも俺からばっかり連絡取ってて … 。本当に、俺のこと先生好きなのかなって思って。だから、わざと連絡取らなかったんです。そしたら、本当に先生から連絡来ないし。なんかちょっと、俺もショックだし、イライラしちゃって。そのまま連絡取らないでいたら、タイミングを見失って … 。実際バイトと勉強も忙しくなって、全然連絡を送れなくなったんです」 静かに、樹は空白の時間を語り出した。 「ほんと … 送ろうと思ったんだけど …… 、正直、自信なくて。初めは、俺、脅しちゃいましたし。俺から離れたいのかもって思って。それに、男同士とか、そういうのも止めた方がいいのかとか …… 。俺なりに色々、先生との関係に悩んだんですよ」  久しぶりに聞く声に、こいつの声はこんな色をしていたのかと、胸が切なさで傷む。それと同時に、陽介はそういえば、と過去の自分を思い出した。 己もまた、 若かりし頃、同じように悩んでいた気がする。悩んで悩んで、辛くなってーーそれを手離すために、楽しい方へ逃げた。

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