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第18話
樹の言葉に、ゆっくりと陽介は顔を上げた。ひどく怯えたような、けれど、隠しきれない期待が瞳の奥に覗いている。
暗闇の中で、それに気づいたのかは分からなかったが、フッと樹が柔らかく、愛しいものでも見るかのように笑った。
「今日会って、先生が俺のこと全然何とも思っていなかったら、諦めようかなって思ってました」
樹がもう一歩。一歩だけ近づいた。二人の距離が縮まる。
「でも、分かった。先生、俺のこと好きなんですね」
「っ、…」
陽介が、息を飲む。
「そうですよね。だって、俺が1年の時から、好きだったんでしょ?あの熱い視線に、俺も気になっちゃって、先生のこと、すぐに好きになっちゃったんですから。だから、好きでもない生物頑張って、必死に質問しに行ってたんですよ?ーー本当に好きじゃなきゃ、そんなことしないでしょ」
陽介と同じ視線になるようにしゃがんだ樹が、少しだけ恥ずかしそうに笑った。
初めて知った事実に、陽介の唇が戦慄く。
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