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第52話

「送るよ」 「ありがとうございます」 先輩とは他愛ない話をしながら並んで歩く。まだとても信じられなくて中々高鳴る鼓動は押さえられない。 「水無月。大丈夫?」 「はい。ここでいいですよ。方向逆でしょ?」 「家まで送らせて。まだ一緒にいたい…だめ?」 「っ…」 「だめ…かな?」 「だめじゃ…ないです…俺も一緒にいたいです…」 「良かった」 自宅に戻ると父がいた 「こんにちは」 「こんにちは。久しぶりだね。葉月くん」 「父さん…助けてくれたの葉月先輩もだったよ」 「そうなのか…ありがとう…君たちのお陰で…」 父は俺と父が交わっていたことまでは知らないと思っているだろう。だっていつも通りだったから。 先輩もわざわざそれを言うつもりもないようだからこれはこれからも秘めておこうと思う 「じゃあ俺はこれで。失礼します」 「またいつでも遊びにおいで」 「はい。ありがとうございます」

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