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第56話

その後は恐ろしいくらい交際は順調だった。 「ねぇ。水無月」 「はい」 「俺さ…神楽坂大学に行くことにした」 「え?専門学校じゃないの?あそこパティシエの専門の学科ないじゃないですか」 「経営学を学ぼうと思って…だから経営学部に」 「え?円山に入るの?」 「いや…まだわかんない。でもさ自分で店をするってなったとき役に立つと思うんだよね。創さんに相談して大学に行きながら修行させてもらおうと思ってるんだ。大学を修了してその後やっぱりパティシエになりたいと思うのならその時…円山に行きたいならまたその時」 「そっか…そうなんですね。良かった…先輩お菓子もう作らないのかって…思いました…俺…先輩のお菓子好きだから」 「お菓子…だけ?」 「そんなのっ…」 顔が熱い… 「ねぇ…美空…どうなの?」 先輩が耳元で囁く…付き合いだしてわかったこと…先輩は少し意地悪でいたずらっ子だ…そして…時々甘えたさん…。まだ体の関係はないけどそれでもいいほど幸せだ 「好きですよ…先輩が作るから先輩のお菓子も好きなんです。俺…」 ちゅっ 「…っ…」 頬に触れる暖かいものは一瞬で離れていった もっと…ねだりたいけど…怖い… 「水無月」 少し熱っぽい掠れた声で耳元で囁かれると体が疼く…でも…先輩から誘われるまでは…何も求めない…先輩にとっては初めての男だろうし…やっぱり男は無理って思われるのはきつい… 「水無月…好きだよ…」 先輩がきゅっと手を握る。それを握り返した 「ねぇ…お父さん今日は何時に帰る?」 「父は今日は遅いといっていました。接待なんです」 「水無月…もっと一緒にいたいんだけど…」 「先輩がいいならいいですよ」 「抱き締めていい?」 「はい」 先輩に抱き締められたのは久しぶりだ。 いつも一緒に帰るけど手も繋がない。たまに俺の家に来て他愛ない話をしてその時少し手を触れ合わせるだけ 先輩の体温が心地よくて胸が高鳴る 「やば…思いの外…ヤバい」 「え?」 「水無月…好きだよ…」 「俺も…俺も先輩が好きです」 怖いくらい胸が高鳴る。きっと俺の顔は真っ赤だろう。 「すげードキドキしてる…ほら」 先輩の胸に耳を当てられる。俺と同じくらい 「先輩も…ドキドキしてる…嬉しい…」 「ねぇ…美空…」 「はい…」 「抱いてもいい?」 「俺…汚れてますよ…」 「汚れてない…お前が欲しい…だめ?」 「だめじゃ…ないです…」 「やり方教えて?」 男は初めてだろうから当然のことだろう 「はい…」

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