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第62話

それから暫く談笑していると父が祥一さんから呼び出された 「社員証忘れているみたいだから取りに行ってくる」 「行ってらっしゃい」 そしてまた二人きり 「先輩」 「ん?」 「ご両親に話したって…本当に?」 「うん。美空のことみんな気に入ってたから大喜びだったよ。特に冬李がね」 「冬李くんが?」 「あぁ。あいつ腐男子だから…漫画も趣味で書いてるからネタになるとかなんとか…」 冬李くんは先輩の弟さん。確かまだ中1だったはず 「冬李はお前のこと気に入ってたからね」 「あの…大丈夫なんですか?」 「だから大丈夫だって。うち結構そういうの気にしないし。秋菜はお前のこと好きだったから不貞腐れてたけど」 秋菜ちゃんはまだ小学3年生。とても可愛らしい 「あははっ。俺昔から小さい子に好かれるから」 「これから家来ない?みんなに改めて紹介するから」 「え!!」 「ね?」 「わかりました」 先輩の家に向かうと冬李くんがニヤニヤしながら迎え入れてくれた 「美空さん。ありがとうございます」 「なにが?」 「最高のネタ提供です。馴れ初めなんかを事細かくお願いします」 「冬李。待て。親父たちにまず会わせてからな」 「はぁい」 「いらっしゃい!美空くん」 「こんにちは。らなさん」 「聞いたわよー葉月でいいの?美空くんこんなに可愛いのに」 「俺ずいぶん前から葉月先輩のこと好きだったから夢みたいです。かえって申し訳ないです…すいません…」 「葉月もずいぶん前からあなたのこと好きだったのよ」 「え?」 「は?」 「あれ?葉月気付いてなかったの?あなた美空くんに初めて会ったときからずーっと美空くんの話ばかりしてたのよ。それはそれは幸せそうに」 「え?でも先輩には好きな人がいて…」 「あぁ。きっとそれはそれは勘違いね。多分尊敬との区別がつかなかったんじゃないかしら?この子意外にそういうの疎いから」 「そんなこと…俺は確かに…」 「想像できる?その好きな人の隣で恋人として立っていること。手を繋ぐことやキスすることや抱き合うこと。好きならきっとそういうことだって考えないかしら?」 「……考えたこと…ない…」 「でしょ?」 「…」 「でも美空くんは?」 「あ…そか…俺はずっと…だから…」 「そう言うこと」

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