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第64話
「ねぇ。先輩」
「ん?」
「あの…璃人さんとはいつから知り合いですか?」
「二年くらい前かな」
「じゃあ…あの…俺が初めてお店行ったときナンパされたの助けてくれたでしょ?」
「そうだったね」
「その相手の顔って覚えてます?」
「いや…あんまり見なかったし」
「あれ…璃人さんだったんですよ」
「そうなの?いつもと全然格好違ったから気付いてなかった。璃人さんは普段あんなにカジュアルな格好しないし。全く雰囲気違いすぎて…」
そう言われてみればあの日と璃人さんに連れていってもらった洋服屋って全くテイストが違う…
「璃人さんは気付いてたのかな?」
「気になる?」
「少し」
「聞いてみる?」
「はい」
結局数日後もう一度璃人さんの家に行き聞くと
「あぁ。気付いてたよ。だから少し気まずくて。俺ね普段からいい加減なお付き合いしかしてないの。最低でしょ。その日だけの人に片っ端から声かけてその日を過ごす。そういう人を家にあげることは絶対にしない。素性は明かさない。家にあげるのは俺が信頼してる人や家族、後は…本気で落としたい人かな。いくら保護するためとはいえ自宅に招くつもりは始めは無かったんだ。別宅に連れていこうと思ってた。でも相手が美空くんってわかったからここに美空くんを連れてきた」
「それって…」
「言ったじゃん。調べていくにつれて気になって気付けば惹かれてた。でも美空くんは芙蓉さんのこと好きだし。うまくいけば俺のものにって思ってたけどそれは無理だったし」
「あなたとはいえ美空はあげませんからね」
「わかってるよ。仲良くしてね」
「璃人さん。」
「なぁに?」
「璃人さんは何で特定の人つくらないんですか?」
ずっと気になってた。あの日のあの苦しそうな顔が
「まぁ元交際相手があまり…ね…だから本気になるのって怖いんだよね」
「そうですか…」
何となくそれ以上は言えなくて口をつぐんだ
その後は世間話をしていい時間になったので帰宅した
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