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第162話

翌日。 雛たちに話を聞いてもらったお陰で少し楽になった俺は美空が気になって玄関の前で待っていた。 俺の姿を捕らえた美空は一瞬目を反らしそして再度向き直りいつもの笑顔を向ける。 「おはよ」 玄関の中に親父さんがちらりと見えた。 精悍な顔立ちはそのままなんだけどどこか疲れ果てているように見えた。 「おはよ美空。親父さん大丈夫なのか?凄い顔色悪かったけど…」 「今忙しいみたいで。一昨日のあれも疲れて普通じゃなかったみたい」 「そう。お前は?大丈夫?」 「うん。あの事は父も謝ってくれたし…もう大丈夫。だからごめんね?」 「いつでも話は聞けるからな」 「ありがと。頼りにしてます」 美空の嘘なんてわかってる…きっと何かある…でも…今は俺はどうこういってはいけないとき… 美空の求めている俺はそんな俺じゃない… 「おはよ。水無月。雪割」 葉月先輩…美空の想い人…でもその葉月先輩を見る美空はくるしそうだ 「おはようございます。」 「水無月…悪いんだけど…今日勉強みてやれない…」 「そうですか…わかりました」 諦めたとは言ってたけどやっぱり諦めきれない…でもどうすることも出来なくて…俯く美空。せめて勉強を見てもらえるほんの少しの時間だけでも一緒に過ごしたかったはずなのに… 「ごめんなぁ…お詫びにこれやる」 本当に申し訳なさそうに頭を垂れる先輩を見ると何も言えない… 「なんですか?」 「マドレーヌ。雪割と一緒に食べて。本当にごめんね」 「いいえ。ありがとうございます」 「んじゃまた連絡するな」 「はい」 いつもなら玄関まで一緒に行くのに今日はそのまま行ってしまった…何かあるのだろうか?… 苦しそうな表情で葉月先輩の背中を見詰める美空を抱き締めてやりたい…でも…出来なくてもどかしい… 「美空?」 「どうしよ…勉強…」 「俺今日も教えてやろうか?」 「助かる…」 「放課後図書室行くか」 先輩に教えてもらうからには変な成績は残せなくて必死なのだろう。 今日も自宅に招いたら無理矢理にでも抱きたくなってしまう…だから図書室へ行くことを提案すると美空は安堵したように笑顔を向けた。 やっぱり笑顔が一番可愛い 「うん」 「むーくん!!」 「うわっ…だから…毎朝やめろ。雛菊…俺の腰がやられる…」 「だってぇ。むーくんかっこいいし」 心配して駆けてきてくれたのだろう。多少息があがった雛は何だかエロい 「いやいや…そういう問題じゃねぇだろ…」
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