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第179話

今日は入学式。 真新しい制服に身を包んだ新入生たちを見詰めながら出番を待つ。 『在校生代表。雪割 睦月』 呼ばれ壇上に上がる。 視線が一気に集まるが不思議と緊張はなかった。 挨拶を終え自分の席に戻り息をつく 「睦月…カッコよかった」 美空から言われ悪い気はしない 入学式も終わり今日は帰宅なのだが生徒会長である俺は残って仕事をしないといけない。 みんなに手を振り生徒会室に向かう 「あの!!雪割先輩!!」 呼ばれて振り返ると俺より背の高い男がいた。 新入生なのはタイの色でわかったのだが身長のせいなのか年上に見えてしまいそう 「誰?」 「はい!霜月中です」 「霜月くん。俺に何のよう?」 「一目惚れしました!!」 「は?」 「付き合ってください!!」 「いやいや…待て待て…無理…お前の事知らねぇし…」 「じゃあ…じゃあ…お友だちになってください」 大きな体を小さくして俺に頭を下げる姿に断るのも可哀想になる 「わかった。付き合うとかは無いかもしれないけどいい?」 「はい!!はい!!」 元気だな…そんなことを思いながらその場を立ち去った 翌日から中は昼休みのたびにやって来てはニコニコと喋り掛けてきてクラスのやつらには大型犬扱いを受けるようになっていた。 中と俺の関係が変わっていくのはまだまだ先の事… 睦月編 完 睦月編はまた別のお話として書くつもりです。またお付き合いいただけるとうれしいです

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