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第4話 憂鬱な昼休み

 あいちんとかなやんはクラスが違うので(俺とりっちゃんだけ同じ)、いつも昼休みは美術室に集まって4人でお弁当を食べている。  ここには俺達以外の部員もいくつかのグループが集まっている。オタクばっかりだから居心地いいんだよなぁ、美術室。先輩後輩との関わりも薄いから上下関係もうるさくないし。  そんな居心地のいい美術室で、俺は盛大なため息をついていた。 「あああ……俺、何したんだろー……」 「うっちゃん、妄想をついうっかり口に出してたんじゃないの~?」  あいちんの鋭い指摘に、りっちゃんが答えた。 「ありえすぎるけど違うわ、私うっちゃんの後ろの席だからそれなら聞こえてるから」 「ていうか聞こえてたら周りの男子がドン引きだよ」 「うっちゃんてばどんな妄想してたの?」  南條先生と吉村くんを掛け合わせてましたが何か。しかし、問題を解けなかった吉村くんが呼び出されるなら分かるよ。むしろ何でそこで吉村くんを呼び出さないの?呼び出してエッチとかすればいいじゃんか!そして俺はそれを陰で見ていたいよ! 「雨宮氏、早く行かないと南條先生は怒ると多分恐いでござるよ」  他のグループで飯を食べていた、アニオタの永田(ながた)氏が俺に話しかけてきた。俺の数少ない男子の友達である。 「じゃあ行ってくる、骨は拾ってくれ……」  ああ、気が重い。美形は遠くから見つめてるのが一番いいのになぁ……無敵の美形攻様とそこらへんにいるモブ男子の俺が一対一で話すとか無理ゲーすぎる。  あれなの?俺が問題解いたあと吉村くんにこっそりお礼を言われたから?『俺の吉村がちょっと優しくしたからって調子に乗るなよ、雨宮ァ……!』とか言われちゃうのかな?うう、俺は敵じゃなーい!むしろあなたたちを応援してますよぉ!! 「別に怒られるって決まったわけじゃないんだから、がんばれうっちゃん!」 「そうそう!それにうっちゃん南條先生のこと大好きなんだし、考えようによってはラッキーだよねー」 「あはは……まあ、攻様としての好き、だけど」  そして俺はりっちゃん達に見送られて、化学準備室へと向かった。 * 「しっつれーします……」  軽くノックをしてドアを開けると、白衣を着た南條先生がコーヒーを飲みながらタバコを吸っていた。南條先生、タバコ吸うんだぁ……大人って感じ。いや大人だけどさ。マンガでもタバコ吸うキャラにしよーっと。タバコの煙は苦手だけど萌える。 「呼び出して悪かったな、雨宮。……あ、タバコのことは黙っておいてくれないか?」 「えっ?」 「一応ここ、禁煙だからな」  南條先生は人差し指を唇に当てて、シィ、というジェスチャーをした。  ぐはッ!!(心中吐血)美形がその仕草、反則でしょぉおおおお!! 「雨宮、大丈夫か?なんか顔が赤いぞ」 「なっなんでもありません!もうお腹いっぱいです!!」  これ以上俺を萌えさせないでください!!ああ、今ここにいるのが俺じゃなかったらいいのになぁー!!くっそぉ、吉村くんてば外でサッカーなんかしてないで今すぐ化学準備室に来いよぉぉ!! 「腹いっぱいなのか?昼メシもう食べたんだな。食後にコーヒーでも飲むか?」 「へぁっ、いただきます!」 「なんだ、へぁって」  クスクスと可笑しそうに笑いながら、南條先生は俺にコーヒーを淹れてくれた。ちゃんと砂糖とミルクも入れて混ぜてくれる。ちなみにコーヒーはインスタントで、お湯はビーカーとアルコールランプで沸かしていた。化学室って便利だなぁ。  ていうか、南條先生、普通に優しい……?  誰だよ、『南條って顔はメチャいいけど、とっつきにくくてマジ最悪ゥー!』とかいう根も葉もない噂を流した当て馬系女子は。

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