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第16話 腐女子へ相談(家族編)
「どの辺がどう誤解なのかキチンと説明してみなさい?卯月。話はそれからよ」
「お前あれだけ南條先生のことが好きだって言っといて、今更よくそんなコト言えるな……」
「南條先生に同情しちゃう。これはもう雨宮家総出でバックアップしなきゃダメかしら?」
はいっ、姉たちに相談した俺が馬鹿でした!腐女子って何歳でも腐女子なんですね。こうも同じことを言われたらだんだん俺の方が間違ってるって気がしてきました!
え……俺間違ってないよね?南條先生のこと、好きなんかじゃないよね!?い、いけない!これは孔明の罠だッ!!
「ホラ、さっさと説明しなさいよ卯月」
「皐月姉ちゃんがコワイよぉぉ」
「あ”?誰がピン子だって!?」
「一言も言ってないけど!?」
皐月姉さんに謂れのない言いがかりを付けられて蹴られそうになった瞬間、天の助けがきた。
「あなたたち、もうそれくらいにしたら?ご飯できたわよ」
「おかあさぁぁん」
夕飯前に、俺の部屋で姉たちにりっちゃんたちと同じ相談していたんだけども……。相談じゃなくて尋問に変わっていました。でもお母さんが助けにきてくれたぁぁぁ!!感動!!
「もう卯月、そういう楽しい話をするときはお母さんがいるリビングでしてちょうだい!お姉ちゃん達ばっかりズルい!」
「うわあああああん」
お母さん、ゆるぎないよぉ!
*
父はまだ仕事中だ。しょっちゅう帰りが遅いので、俺たちはいつも先に食べている。
「――で?何がどう誤解なの?アンタ南條先生に憧れてて大好きだって言ってたじゃないの」
「憧れてるとは言ってたけど、大好きなんて言ってない!」
「僕には愛してるって聞こえたぞ」
「きさ姉は耳鼻科行け!!」
俺への尋問、絶賛継続中です。せっかく夕食は俺の大好きな唐揚げなのに、味がわかんないよぉぉ!
「もう……せっかくそんなイケメンに見初められたっていうのにダメな弟ね!なんのために高校に行ってるの!?」
葉月姉さん、なんてこと言うの!?
「す、少なくとも男の先生と恋愛するためじゃないからな!!」
「「「「………!!?」」」」
一斉に押し黙る母と姉三人。
「声が出ないくらいビックリするところじゃないよね!?」
俺の方がビックリしちゃったよ!どーなってんだうちの家族は!!ああ、突っ込み疲れてきたよぉ……今日一日でどれだけ突っ込んでんだよ俺……!おとーさん、早く帰って来てぇぇ!!
そんなことを思った矢先、ピンポーンと玄関の呼び鈴が鳴った。
「あら?お父さんもう帰ってきたのかしら?今日は随分早いのねぇ」
「おとうさ―――ん!!!」
ダダダダダ!!!俺は玄関に向かって走った!!ちょっと頼りないけど雨宮家で唯一俺の味方、お父さん様を家に招き入れるために!!
ガチャッ
「あ、卯月。開けてくれてありがとう、ただい……」
「おかえりなさ―――い!!!!」
「ゴフッ!」
「あ、ごめんなさいっ」
お父さんの帰還が嬉しすぎて、ついフルパワーでタックルかましちゃったよ。お父さんヒョロ系メガネ男子だからちょっとよろけてる。それでも倒れないところが大黒柱の意地だね!
「……ど、どうしたんだい卯月?またお姉ちゃんたちにいじめられたのかい……?」
「そうなんだよぉ~お父さん助けてぇ~」
「ははは、まったく卯月は弱虫だなァ~」
弱虫にもなるわ!4対1で逃げ場無しに詰められるんだぞ!!
俺はお父さんの後ろに隠れながらリビングに戻った。
「ただいまー」
「お父さんお帰りなさーい」
「お帰りなさい、今日は早かったのねー」
「うん、作家の皆さん思ったより早く原稿上げてくれてね。――それよりお姉ちゃんたち、可愛い弟をイジめたらダメじゃないか。卯月が不良にでもなったらどうするんだい?」
あっダメだお父さん!そんな餌を腐女子に投げつけたら!
「不良受けとか萌えるわね…!」
「強気受けたまんないっ!でも、卯月に出来るかしら?」
「卯月、今度は不良に覚醒しろ!」
ほらぁ!!
「ぜ、絶対にグレるもんか……」
そんなの腐女子の思う壺だろぉぉ……!!
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