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第23話 腐女子はつよい

 吉村くんの邪魔するなって……やっぱり、南條先生がらみ!? 「邪魔なんてしないよっ!今日だってこうして一人で戻ってきたんだから!!」  二人のラブラブ2ショットは正直見たかったけど、気を使って出てきたんだ!親友だろうとモブキャラの関口くんに文句を言われる筋合いなんかないやい! 「フン……まぁ確かに一緒にいないのは褒めてやってもいいけどな」 「ちょ、もう苦しいってば、手ぇ離してよっ!」  何俺の襟元握りしめたまま感心してるんだよ!褒めてやってもいいとか意味わかんないし!!誰目線なんだよ、モブ太郎のくせにぃぃ!!  ――その時だ。 「ああっ!うっちゃんに何してるのよ、関口!!」  教室にいるクラスメイト達が見て見ぬふりをしている中、果敢にも俺と関口くんの間に突っ込んできてくれたのは……我が生涯の友、りっちゃん!! 「な、なんだよ池田……っ」 「なんだはこっちのセリフよ!早くうっちゃんを離して、離さないと先生呼ぶから!!」 「チッ……」  うわぁりっちゃん、マジイケメン……!!女の子だけどマジイケメン!!でも女の子に助けられる俺ってどうなの?軽くへこむ!! 「女なんかに助けられやがって、この軟弱野郎!」  投げられるように掴まれた襟元を離されて、俺は椅子ごとガタンと後ろに揺れた。なんとかバランスを取ったから、後ろに転がることはなかったけど。 「ゲホッ」 「うっちゃん!大丈夫!?」  りっちゃんが俺の方に駆け寄り、背中をさすってくれた。その間も関口くんは面白くなさそうに俺とりっちゃんを見つめている。ああもう、なんで俺がこんな目に……それより。 「りっちゃん、教室戻ってくるの早くない?」 「え?でももう午後の授業まであと10分だよ」  壁時計を見たら、確かにその通りだった。俺がいつもギリギリに戻ってきすぎなのかな。だって化学準備室に行ったら、南條先生なかなか帰してくれないし……。  南條先生のことを思い出したら、何故かまた胸がズキンと痛んだ。 「………」  ほんとになんなんだよ……吉村くんの邪魔なんてしてないのに邪魔すんなとか言われるし、あげく絞められるし、俺が一体何したって言うんだよ。  するとりっちゃんが俺の耳に口を寄せて、超ヒソヒソ声で話しだした。 「そんなことよりうっちゃん、何で関口なんかにキスされそうになってるの!?南條先生に見つかったら怒られちゃうよ!もううっちゃんのカラダはうっちゃんだけのモノじゃないんだから、ちゃんと自覚して」 「い、いや俺のカラダは俺のモノだから……」  しかもキスされそうになったんじゃなくて殴られそうになったんだけど。腐ィルターゆるぎないです。(俺も最初はキスフラグかと思ったけどね) 「……なぁ、お前らやっぱり付き合ってんのかよ」  俺とりっちゃんを交互に見ながら、関口くんがそう聞いてきた。何なんだよ、さっきから変な質問ばっかり。 「あんたに関係ないでしょ。……あ、もしかして」  ピンと来た!という顔をしたりっちゃんの思惑が俺には手に取るように分かった。りっちゃんは再び俺の耳に顔を近づけると、 「うっちゃん!関口の奴、うっちゃんにホの字よ……!」  と、俺の予想通りのことを言った。俺も超小声でりっちゃんに返す。 「いや……いや、りっちゃん、彼は吉村くんラブだから。それ以外はありえないから」 「そうかもしれないけど、心変わりしたんじゃない?見込みがなさすぎて。じゃなきゃ関口がうっちゃんに構う理由が全然見当たらないわ」 「いや、関口くんは……」  吉村くんのことが好きだから、吉村くんのために最近南條先生と一緒にいる俺を牽制しているんだよ。 「……うっちゃん?」  ヤバい。こんな顔してたら、鋭いりっちゃんには何があったかすぐにバレてしまう。 「おいお前ら、俺を無視すんなよ!」 「関口うるさい!こっちはそれどころじゃないんだけど!」 「――慎太郎(しんたろう)!?」  ん?  この教室内で、関口くんをファーストネームで呼ぶ人物はただひとり。化学の教科書とノートを小脇に抱えた吉村くんが、化学準備室から戻ってくるなり俺の席へと直行してきた。 「何してるんだよ!」 「いや、俺は彰吾のために……」 「何も頼んでないだろ!……ごめんね、池田さん。あと、雨宮。さっきも南條先生を横取りするみたいな真似してごめん」 「横取り……?」  はうっ!!吉村くん、りっちゃんの前でさっきのことをべらべら喋らんといてぇぇ!! 「雨宮が化学準備室で弁当食べるくらい南條先生と仲良しだったなんて知らなかったんだ。でも、しばらくは俺が行かせてもらっていいかな?」 「も、もちろんだよ!吉村くんは勉強を聞きに行ってるわけだし……」 「え?雨宮は違うの?」  はうあ!!そこあんまり突っ込まないでぇぇ!!  りっちゃん、ものすごく怪訝な目で俺と吉村くんのこと見てるし!もうこれは俺が何も言わなくてもバレたな……。

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