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第24話 萌えないなんてありえない
放課後、美術室。定位置に座る俺の対面には、りっちゃんとあいちんとかなやん。それと何故か永田氏(なんでいるの?)が並んでいる。
みんな、真面目に部活しようぜ……!もちろん真面目にやってる人たちもいるけど、みんな耳ダンボで聞いてるっぽいよ!
早速、りっちゃんが俺に尋問を開始した。
「うっちゃん、昼休みに吉村君が言ったのはどういうことなの?」
「どうって別に……吉村君が昼休みに南條先生に化学の質問しにきたから、俺は邪魔かなぁと思って教室に帰っただけだよ」
「「!!」」
俺の答えに、あいちんとかなやんは驚愕した顔をした。そこまで驚かなくても……。
「ライバルの登場!?」
「きゃー!しかもA組の吉村くんてアレだよね、めっちゃ受け顔の!」
「可愛い顔をした男子でござるな」
だからぁ、永田氏は一体なんなの?コメンテーター??
「…………」
「りっちゃん?どしたの?」
「あ、なんでもないっ」
何故かりっちゃんだけが俺を見て複雑な顔をしていた。なんだろう、何か引っかかるな……。
「とにかくうっちゃん、そこで逃げたらダメだよ、戦わなきゃ!!むしろ『俺が教えるから来なよ!!』って化学準備室から吉村くんを連れ出せばよかったんじゃないの!?」
「いやいや、それは南條先生が止めるでしょ。『吉村と雨宮を二人にさせるくらいなら俺が教える!』とか言いそうじゃない!?」
「えーっ南條先生ってそんなキャラ!?」
あいちんとかなやんが二人で盛り上がっている。そうですよ、南條先生はそんなキャラですよ。見てないのにすげぇな……。
「だって吉村くんは直接南條先生に勉強を聞きに来たんだから、俺が邪魔するわけにはいかないじゃん」
別に俺と南條先生は恋人でもなんでもないんだから、邪魔する権利なんてないし。
………なんか俺が南條先生の恋人になりたいって思ってるみたいじゃないか!?いやいやいやそんなことあるわけないし!!邪魔者、その通りでしかないし!!むしろ南條先生と吉村くんの絡み見るの大好物だし!?
なのに、
全然、萌えないんだ……何故か。
どうして?
「うっちゃん、恋は戦いだよ!ただでさえ強力なライバルに遠慮してどうするの!?」
「え、遠慮なんかしてないよ。そもそも俺は別に先生のことなんか好きじゃないしっ!」
それにあの吉村くんをライバル視するなんて、恐れ多いにも程があるだろ……!!
「じゃあどうしてそんなにつらい顔してるのよ!?」
ガタンと音がするくらい激しく椅子を引いて立ち上がり、俺に強く言い放ったのはりっちゃんだった。
「り、りっちゃん!?落ち着いて!」
「あんまり強く言うとうっちゃん泣いちゃうから……!」
あいちんとかなやんが、興奮しているりっちゃんを両隣から引っ張って座らせようとしている。けど、りっちゃんは座らずに俺をキッと睨んでいる。
ていうか別に泣かないよ!?
泣かないけど……!
「いや、言わせて。これはもう親友として黙ってはおけないから!……うっちゃん、もしも南條先生と吉村くんがくっついたら、また新しい攻めを探すつもりなの!?」
「――え?」
「南條先生みたいなうっちゃんの理想の攻め様はもう二度と現れないよ!?なのにいいの!?南條先生の受けが吉村固定になっちゃってもいいのっ!?」
「……!?」
俺はりっちゃんの言ってることが、よくわからないぞ……!?
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