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第1話
胸元に感じる純の温もり。もっとくっつきたくて腕を伸ばすが、抱き寄せた時の感触と重さに違和感を覚えて目が覚めた。
(……ん?)
掛け布団をバッと捲れば、そこには純の代わりに小さな子供がいて――。
(え、誰? ……純の子供?)
思いもよらぬ出来事に、焦って思考回路は停止する。目を数回瞬かせて、冷静さを少し取り戻すと、状況を確認するようにその場に座ってじっと見つめた。
ベッドには脱け殻のように純のパジャマが。そして裸体の子供。パジャマの上着が下半身を隠しているが、起き上がったら全部脱げてしまいそうなくらいブカブカだ。
「じゅ、ん……?」
(純、だよね……大丈夫なのか、これ……。息は――――、してる)
胸が上下してるのを見て少し安心する。いったいどうしてこんなに小さくなってしまったのか。
じーっと見ていたら、パチリと目が開く。きょとんとした顔でこちらを見てくる子供に、俺の胸はドクンと高鳴った。くりくりした大きな瞳をキラキラと輝かせて、不思議そうにこちらを見つめてくる。
「純……?」
「なぁに?」
やっぱり純だ。痛がる様子もないし、小さくなった以外は変わった所もなく、機嫌も良い。とりあえず問題はなさそうだ。
(いや、問題は大有りだけど。……しばらく様子見かな)
「おじさん、おなかすいた」
「おじ……」
もぞもぞと起き上がって俺の服をクイクイ引っ張る。
「ねえってば」
「……おじさんじゃないよ」
「んぅ? ……まさかずさん?」
コテッと首を傾げて聞いてくる純の顔はとても愛らしい。だが、今とても聞き捨てならない事を言った。
「覚えてたんだ」
「なにを~?」
「……何でもないよ」
(覚えてたのにおじさんだと?)
純が元の姿に戻ったらお仕置きすると決めて、ベッドを下りる。
(とりあえず服だな。小さい服……)
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