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第1話

「僕は先生だからね。」 この人の口癖だった。 そして今日も。 **** それは一目惚れだった。 およそ3年前、入学式の日に見かけたその人は、桜が良く似合っていた。 今どき時代遅れな楕円形メガネにまっさらなスーツを纏った高校教師1年生。 三森 晴樹(みつもり・はるき)は、お世辞にも優等生だとは言えなかった。 入学式からバックれるような…不良というほどではないが、不真面目な生徒だった。 面倒な式に出るくらいならこの先サボるのに使えそうな場所を探す方が有意義だと思い、ちらほら校舎の方に残っている教師の目をかいくぐりながら空き教室や校舎裏を1人で探索していた。 「えっ…開いてねぇのかよ…」 屋上へと続く唯一の階段はガッチリと施錠されていた。 少しだけ期待を裏切られたような気分を引きずりながら、いったん校舎を出て駐輪場へ向かった。 そして、裏門にひっそりと立つ桜の下に佇むその人を見つけたのだ。 その瞬間、時が止まったのかと思った。 彼が桜を見上げているだけ。 ただそれだけの光景が、晴樹にとっては、呼吸も忘れるほどに美しいものだった。 「あれ?君は…」 「っあ……」 振り向いたその人に見つかってしまい、止まった時間が動き出したような気がした。 「1年生?今、式の途中じゃ…」 「…バックれたっす」 服装から教師か父兄だと分かり、逃げるのはなんとなく格好がつかない気がしてそう言った。 「どうしてそんな堂々としてるの…僕、一応先生なんだけど?」 「そっすか…」 「…こっち、おいで。」

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