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 猫を飼っていた。  真っ黒と真っ白の2匹の猫。  動物の中でも特に猫が好きで、名前を付けて可愛がっていた。学校に行っている間はひらりに世話を任せて、帰ってくれば二匹を腕に抱いて可愛がった。  でも、学校から帰ってきたある日、二匹が死んでいた。  庭の池に浮かんでいた。  部屋の真ん前の池に。  まるで見せしめのようだった。  二匹がとても大切で愛おしくて、どうしようもなく涙をボロボロ零し、悲しくて哀しくて、大御祖母様に泣きついた。  大御祖母様は泣きやむまで遊び歌を歌ってくれたのに、信じていたのに、聞いてしまったんだ。 「アレはどうしとる?」 「最近はご友人と遊ぶこともなくなり、学業に専念してはります」 「そうかえ……あの子には頑張ってもらわんといけんからのう……そうじゃなきゃ、あの二匹が報われん」 「……しかし、殺さずともよかったのではありませんか? とても、可愛がっていらっしゃいました」 「黙らっしゃいな。付き人の意見なんか聞いとらん」  そこから先の会話なんて耳に入ってこなかった。  遊んではならない。  友人なんて必要ない。  助けを求めてはならない。  気を許してはならない。  本心を見せてはならない。  貴方は継ぐのだから。  貴方は次期当主なのだから。  ずっとずっと、言われてきた言葉。  みんな優しかった。  言うとおりにすれば誉めてくれた。  でも:‐ー抱きしめてくれなかった。  頭を撫でてくれなかった。  ようやく、あの大御祖母様の言葉を聞いて理解した。 (けっきょく、あいされてなんかいないんだ)

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