2 / 82
000※追加
猫を飼っていた。
真っ黒と真っ白の2匹の猫。
動物の中でも特に猫が好きで、名前を付けて可愛がっていた。学校に行っている間はひらりに世話を任せて、帰ってくれば二匹を腕に抱いて可愛がった。
でも、学校から帰ってきたある日、二匹が死んでいた。
庭の池に浮かんでいた。
部屋の真ん前の池に。
まるで見せしめのようだった。
二匹がとても大切で愛おしくて、どうしようもなく涙をボロボロ零し、悲しくて哀しくて、大御祖母様に泣きついた。
大御祖母様は泣きやむまで遊び歌を歌ってくれたのに、信じていたのに、聞いてしまったんだ。
「アレはどうしとる?」
「最近はご友人と遊ぶこともなくなり、学業に専念してはります」
「そうかえ……あの子には頑張ってもらわんといけんからのう……そうじゃなきゃ、あの二匹が報われん」
「……しかし、殺さずともよかったのではありませんか? とても、可愛がっていらっしゃいました」
「黙らっしゃいな。付き人の意見なんか聞いとらん」
そこから先の会話なんて耳に入ってこなかった。
遊んではならない。
友人なんて必要ない。
助けを求めてはならない。
気を許してはならない。
本心を見せてはならない。
貴方は継ぐのだから。
貴方は次期当主なのだから。
ずっとずっと、言われてきた言葉。
みんな優しかった。
言うとおりにすれば誉めてくれた。
でも:‐ー抱きしめてくれなかった。
頭を撫でてくれなかった。
ようやく、あの大御祖母様の言葉を聞いて理解した。
(けっきょく、あいされてなんかいないんだ)
ともだちにシェアしよう!