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第3話
節分に寄せて 夕刻
熱いのに汗をかくこともない大きな身体が背後から、猛ったものが俺の腸壁を押し拡げながら入ってくる。
薄い腹が中から突かれると波打つように蠢いている。
幼い頃から兄弟のように育った男。女を知らない男を唆して、捨てた俺。
都会で過ごす虚実を尽くした生活に身体を侵され治らぬ病魔を抱えて帰った故郷。
男と身体を繋げたのはなん年前だろう?
東京に出る前の晩が最後だったことを思い出した。
それでも身体は正直に入ってくる男を締め付ける。裸の男の背中にはひどい傷があるようだ。その傷を爪で抉ると面白いように男が強くその竿を押し込んだ。
壊れるかもしれない、壊して欲しい、どうせ死ぬなら男のもので……
知らぬ間に意識を飛ばし、気がつくと夜の部帳がしっかりと降りていた。
となりに寝ている男は、今度は鬼の面を被っている。
「 なんだ、鬼になっちゃったのか?
聞いたよ、一昨年のあの事故のこと、お前、死んじゃったんだろ 」
と尋ねると俯いたままで、俺の左の薬指を口に入れると強く噛んだ。
「 結婚指輪もうないのに、気に入らないんだ 」
俺が薄く笑うと、その重い身体でもう一回と俺を布団にはりつけた。
「 もう応えられるかわからないよ 」
と言いながら、やはり与えられる快楽の海に漂っていった。
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