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第2話
節分に寄せて 昼過ぎて
久しぶりに体調もいい、気晴らしに八畳二間続きの座敷の雨戸を開けると、
外はいつのまにかしっかりと雪が降りたようだ。
重たそうな雪を抱えた灯篭が一基、鎮と重苦しく庭の真ん中に立っている。
暫く見つめているとそれは人影になった。
雪の庭を静かに歩を進めてくるのは
ああ、なんと、懐かしい姿……
「 逢いに来たんだね! 」
と声をかけると頷いた影は俺を覆った。
ここはどこだろう。
冷たいはずの畳に横たえられた俺は
緩い水の中を漂うように手と脚をゆるゆると動かしている。
衣を剥がれて素肌に触る畳は静かな湖面のように漣をたてている。
裸になった顔のない男は俺の身体を強く抱きしめる。
頤に、肩に、腋窩に触れる唇は厚く、長く太い指はひたすら俺の陰部を彷徨っている。
それは、
慣れた男の愛撫の仕草を思い出させる。
雪の庭は白昼夢を連れて来たのかな。
俺を煽る男の身体の重みを尻に回した腕で確かめながら夢なら覚めるなと願った。
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