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第1話
───高校の卒業式
式の後 ボロボロに泣いている同級生
笠井 要 の背中を 俺は押した。
「ずっと好きだったんだろ?
これで最後なんだから…悔いのないように
思いっきり コクって来い」
───と。
「た…隆之ぃ……」
目に涙をいっぱい溜めた要は
それでも なかなか動こうとしない。
だから、もう1度。
「ほら、勇気出せ」
「う…うん……」
ゴシゴシと涙を拭いた要は
ゆっくりと立ち上がった。
「俺、頑張ってみる…!」
「おう」
強い想いを湛えた瞳は
キラキラと輝いていて
とてもキレイで……少し羨ましくなった。
それは
俺には 絶対に出来ない事…だから。
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