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第11話

『それにしても……隆之… 岡ちゃんの事 まだ引きずってたんだ…』 要が ちょっと呆れ顔で俺を見た。 『…………そ、そりゃそうだろ…! お前が3年間 好きだったヤツなんだぞ!?』 『ああ………そこからか』 『……え?』 『はぁ…鈍いなぁ…』 『……え?なに?』 要は さらに呆れ果てた表情をして 太ももの辺りを蹴ってきた。 『い、いた…っ、なんだよ?』 『……なんでもなーい』 『……………?』 ちなみに 素っ裸は寒くなってきたので 2人で布団にくるまって ぴったり くっついて 不安も解消された今、 心も体も温かいのだけど… 『そこから…って なに…?』 また気になる言葉が出てきた。 『あのねぇ…俺が 3年間 好きだったのは 岡ちゃんじゃなくて隆之だよ?』 『…………………え? ────え?俺…///!?』 これまた…意外な……! 『はぁ。俺、卒業式の時に言ったじゃん』 『……い、いや…そりゃ…………えぇ?』 『確かにね、最初は岡ちゃんがいいなぁって 思ってたけどさ……ホントに好きになったのは隆之なの!』 『えー?…マジ?え? い、いつから…?』 『んー。1年の1学期の最初の方』 『……………そんな…前から?』 『うん。俺としては分かりやすくアプローチしてたつもりだったんだけどさ……隆之、鈍すぎて なかなか伝わらなくて…俺が岡ちゃんを好きって思い込んでるし。 でも ずっと一緒にいるうちに 隆之も俺の事 好きなの確信したから、最後に…卒業式の日に告白しようって決めたんだ。 絶対 逃げられないように自分も隆之も 追い込もうと思って、専門学校もアパートも隆之の行くとこの近くにして』 『あぁ……そういえば……そうだった…』 懐かしい… ビックリしたけど すごく嬉しかった… 『でも、つきあってからも誤解されてるまんまだったとは………』 ジトーッと睨まれ、いたたまれなくなって 枕に顔を埋める。 『………すんません…』 『──あの時、俺 言ったでしょ? 愛するより愛される方が幸せになれるって。 覚えてる?』 『………うん。もちろん』 『だから、隆之は世界中の誰よりも 幸せになれるんだよ?』 ……そう。 要が好きな岡ちゃんより 要を好きな俺の方が 幸せに出来るんだって そう…思って………………、 『……………………え?』 今………なんて……… 『だから~。隆之はさ、 世界中の誰よりも俺に愛されてるんだからさ ~、もっと自分に自信 もってよね~』 『…………え……愛され……、────え////?』 そ、それって… 要が 俺を好きって…愛してるって…こと? 『やっぱり分かってなかった~! なにそれ!も~、鈍すぎる!』 『ご、ごめん…!』 『もう!ビックリしたんだからね? 急に怒るし叫ぶし、─────泣き出すし』 『……………う"…/////』 『まあ、誤解されてたのは ちょっとムカつくけど………でも、それって裏を返せば俺の事、すごく好きってコト…だよね?』 『う…っ……、…も、もちろん…///!』 『そっか。じゃあ、いいや』 『……ごめん……』 ああ……情けない…… ホント、情けない… 『───ねぇ、隆之』 『…………はい…』 『俺の愛は伝わった?』 『……………はい…』 『もう疑ったりしない?』 『……………はい…』 『俺の事、好き?』 『…………だ、大好きです!』 『………………』 『……………要?』 返事がないのを不思議に思って要を見ると、 要はまた呆れたように 大きくため息をついて ぷいっと顔を背けてしまった。 あ、あれ……? なんで? 怒ってる……? あれ? 俺…なんか間違えた?! 『かな…っ…要……!』 慌てて、体を起こして 要を覗きこむ。 ───が、要は俺を見てくれない。 『か、かなめぇ……?』 『うっさい…見んな…////』 『……………え?』 …よく見ると要の頬も耳も真っ赤……… あれ? 怒ってる訳じゃ…ない…? もしかして………照れてる?! だったら超絶かわいいんだけど…! 『見んなって…///』 『か、かなめ…///』 かわいい……/// 調子にのって 顔を覗きこんでいると 照れた要に 思いきり脛を蹴飛ばされてしまった。 『い、いた…!』 『調子にのんな、バカ』 『……はい…すんません…』 しょぼんと定位置に戻って 要を抱きしめる。 そっちは拒否されなかった事にホッとして 要の温もりを改めて噛みしめていると… 『………隆之』 静かに、要が俺の名前を呼んだ。 『…………はい』 『………キスする?』 『……はい。───へ??』 え?…きす? 意外な言葉に驚いて要を見る。 すると、少し照れたように、怒ったように でも、いつもの悪戯っぽい笑顔の要が ジーッと俺を見つめていた。 『キス…しよ?』 『い、いいの…?』 『うん。…でも、短いヤツね? 俺、死んじゃうから』 『………うん…っ…』 要の腕が肩の上から背中にまわされ ゆっくり顔が近づいてきて そっと重なった。 唇が離れた瞬間要から紡がれた言葉は…… 世界中の誰よりも幸せになれる 魔法の言葉だった。 『隆之…愛してる…』 俺も愛してる そう答えたかったのに すぐに2度めのキスが落ちてきて 言葉にならなかった。 でも… 俺の想いは届いてる 世界中の誰よりも愛している 要に──── おわり。

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