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第10話
とりあえず、ベッドに逆戻りして
(素っ裸のままだから ちょっと落ち着かないけど)要と対峙する。
しばらく気まずい沈黙の時間が続いたけれど
先に口を開いたのは 要だった。
『───あのさ、
最初に ハッキリさせときたいんだけど。
俺、隆之に飽きてもないし、
嫌いにもなってないからね?』
『…………え?』
『今も大好きだよ』
『……………え。
え?……でも………なら………なんで……………』
『なんで?あ、…あぁ……キスの事?』
『………うん…』
『それね~。聞いてくれればいいのに…
俺、鼻炎……なんだよね~』
『……………………は?』
び、びえん………?
『なんかのアレルギーらしくて…
最近 発覚してさ~。だから…濃い~キスは
息 出来なくから、苦しくて…………』
『………………は?』
びえん……って、鼻炎かいっ!?
…………え?
そ、そんな(って言っちゃダメだけど)
そんな…理由!?
『じゃ、じゃあ短いキスは?
えーと、例えば……朝、起きた時とか…!
お前、それも嫌がってただろ!』
『えーと…起き抜けは 口呼吸だから
口の中 カラカラで…臭かったらイヤだなーって。職場の先輩がそれが原因で彼女に文句言われたって話してたし……』
『じゃ、じゃあ…寝る前は?
歯磨きした直後じゃん!』
『え~?寝る前にキスしたら普通にシたくなるでしょ?シたら次の日 仕事つらいから…しない方がいいなぁと思って』
『はぁぁ?じゃあ、じゃあ さっきのは?
風呂 入る前、手で押さえたろ?!』
『あ~、あれは酔ってて酒くさかったから』
『………っ、じゃあ、エ、エッチの時はっ…?
無理矢理 口 離したのは??』
『あー、それっ!あんな最後の激しい時に
口呼吸しか出来ないのに、口 塞がれたら…
俺、死んじゃうよー!』
『……………は……?
………な………な…………』
な、なんじゃ、それ…っ…!
そんな事なの??
俺が ずっと悩んでた時間って……!
─────って、いや!
まだ あった!!
『お、岡田は……?』
『ん?……岡ちゃん?あー、岡ちゃん。
もうすぐ結婚するらしいよ?』
『───え。……け、結婚!?』
『うん。居酒屋で延々 ノロケられた~。
で、昨日 話したかったのは 岡ちゃんが
俺と隆之でなんかお祝いしてくれって
しつこくてさぁ。どうしたもんかと思って』
『ああ……そう…なんだ………………』
『うん。…まあ、だいぶ酔ってたから
もう忘れてるかもしれないけど』
『…………そ……か……』
………なんて事だ……
こっちも俺の早とちりだった…!
ってことは つまり全部!
俺の思い込みと勘違い…!
『うあぁぁ…………////』
体から がっくりと力が抜けて 前のめりに倒れた俺は恥ずかしくて 熱くなった顔をシーツに擦り付ける。
よかった…
結果的には よかったんだけど……
やっぱり俺……情けない…
そして、恥ずかしすぎる……////!
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