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第336話

「お邪魔しまーす」 唯より先に唯の家に帰ることは初めてだ。 リビングの電気とテレビとエアコンをつけて、ソファに座った。 ぼんやりとテレビに流れる映像をみていた。 合格したことでの安堵感が半端じゃないな…。 体の力が一気に抜けた。 テレビを眺めていたらだんだんと眠くなってきて、それに逆らうことなくそっと目を閉じた。 ** 「…玲緒……起きて」 ゆらゆらと体を揺らされて目を覚ます。 そこには笑顔で俺をのぞき込む唯がいて、慌てて起き上がった。 「俺、受かってた…っ」 「あぁ、よく頑張ったおめでとう」 そう言うとぎゅうっと強く抱き締められて少し苦しいと思いながらも心地よく感じた。 んーっとキスをせがめばお預けをすることなく優しくて甘いキスをくれる。 「唯、疲れてない?…俺疲れちゃってまだ眠りたいから一緒にお昼寝しようよ」 「…昼じゃないけど、まあいいか」 そう言うと唯は俺をお姫様抱っこで抱き上げて寝室のふかふかのベッドに寝かせてくれた。 うん、心地良い。 「抱きしめてほしい」 そうお願いすれば、断ることなく俺の体に腕を回して隣に来てくれた。 「ほんとに良かった………っ」 「俺なら受かるって言ったの、唯なのに」 そう言って笑うと唯も笑う。 これからは我慢していた幸せをたくさん感じることが出来るんだ。

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