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第1話

うるさいうるさい。 全部うるさい。 俺の耳もとで騒がないで。 「おい、レオっ!もうやめとけって」 俺を止める声。 今だけは聞こえないフリをする。 「なんで今日はあんなにいらついてんの?」 「あの人たちもご愁傷様って感じだね…うわっ痛そう…レオってば見かけによらずケンカだけは強いからね〜」 俺はいつだってこうなんだ。 自分でも自覚してるつもり、悪いことだって あぁ、気持ち良いなぁ こうやって人を殴って蹴って 自分から仕掛けてきたクセに、こいつらは弱いからすぐ崩れる。 ケンカしてる時は無心になれる。 何も考えなくて良いしすごく楽。 ケンカしてればなんか落ち着くっていうか、 苦しくないっていうか、 高校生になってもこんな考えしてる俺ってやばいのかな? そもそもやばいの定義ってなんだろ? どうでも良いことを考えてると、次々にどうでも良い疑問が出てきて集中できない。

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