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第2話
「おい」
この人誰だろ?
いつの間にかダークスーツに身を包んだ知らない男が立っていて驚く。
こいつもケンカしてたやつらの仲間かな?
でも普通ケンカにダークスーツなんて着てくる?
朦朧とした意識の中、必死に考えを巡らせる。
だけどちゃんと考えられるほどの労力は俺にはもうなくて
ふらふらとした足取りでそいつの前まで歩いた。
よく分かんないけどまぁいいや
殴っちゃおう
しかしその男に俺の拳が当たることはなかった。
そして俺にはなぜか空の景色が見えていた。
理解するのに時間は要らなかった。
俺が殴ろうとした拳は受け止められて、
俺が殴られ、倒れたのだと
起き上がろうとしたけど、無理だった。
どうにかこじ開けようとした瞼もその意思とは反対にどんどん下がっていく。
「ふたり、とも…にげ…」
どうにかして伝えたかった言葉。
2人を巻き込むわけにはいかない。
どうにか逃げてほしい。
そして俺は意識を手放した。
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