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第3話
「ん…」
目が覚めると知らない天井が見えた。
意識がはっきりとしてきて思い出す。
そして飛び起きた。
「いっ、て…」
突然起き上がると体が痛んだ。
さっき殴られた頰を触るとガーゼが貼ってあった。
「起きたか」
知らない男がパソコンから顔を上げ俺をみていた。
「…どちらさま、ですか〜?」
出来るだけ愛想良く、ニコリと笑った。
「ちょっと待ってな」
そう言って男は部屋を出る。
この隙に、と思って逃げようとすると手が鎖か何かで片方だけソファの脚と繋がっていて逃げることは不可能だった。
しばらくしてやってきたのはさっき見た男だった。
よく見るとこの人めちゃくちゃイケメンじゃん...
目の前に立った男は世間で騒がれている俳優顔負けのイケメンでとても綺麗だった。
黒い髪の毛に黒い瞳。
長いまつげに整った形の綺麗な唇。
身長は俺よりもきっと10センチ以上は高いだろうと予想した。
「え〜っと…コンニチハ」
ヘラっと笑ってごまかしてみる。
「...そんな風に笑わなくてもいい。さっきは殴って悪かった」
落ち着いた声が聞こえて、この人声までイケメンだ。俺もこんな風になりたいなぁ、なんて考えながらもう一度その人の方に目を向けると
その人はなぜか俺に謝って、頭を下げている。
「うわっ、頭なんて下げないでくださいよ!悪いのはケンカしてた俺なんですから、すみませんでした!…って、そういえば夏樹と翔はっ」
その人に謝らせるのは違う気がしてすぐに謝っていたら、夏樹と翔のことを思い出した。
慌てて身を乗り出しながら2人のことを聞くと、その人は少し笑ったようだった。
と、言っても少し目が優しくなったように見えただけなんだけど…
「えぇっと俺何か変なこと言いました〜?」
「いや、よく喋るなぁと…その友達は家に帰した。…それよりも、ここがどこだか分かってるか?」
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