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第4話

「えっと…どこ、だろ〜」 そんなこと聞かれるなんて俺って相当やばいとこに連れてこられてるの? その人から紡がれるであろう次の言葉を待つように俺は息を飲んだ。 「ここは呉羽組の本家だ」 「.......え」 呉羽組といえば堅気の俺でも知ってるようなヤクザとして有名な人たちで関東一帯を牛耳ってるとかなんとか… ニュースや人伝によく聞くその名を今、ここで聞くとは思ってもいなくて俺は驚いていた。 きっと今、すごく変な顔をしているだろう。 とにかくやばそう 「...俺、臓器でも売られるんですかね?」 「臓器...?売らないけど…名前は?」 「レオっていいます」 「俺は月宮。君のことは俺が任された」 「はぁ」 「だからまずは喧嘩してた理由を教えてくれ」 「…別に...なんか、いらいらしてて…それでケンカ売られて…買っちゃったって感じですかね」 そういってヘラヘラと笑ってみせる。 こんな俺は俺だって嫌いだよ。 無理に笑って無理に「俺」を演じる。 みんなの前では適当にがんばってそれなりに上手くやる。 もう俺は壊れちゃいそうだ。 そんな気持ちを胸の奥にしまいながら毎日を繰り返す。 胸の中には助けを求める俺もいるけど、そんなのは無視して自分の気持ちに嘘をつく。 「そうやって無理に笑うの、やめろ」 月宮さんの声は少し低く聞こえた。 この人には全てを見透かされているようで少し気味が悪い、けど安心、する?とも感じられた。 「おこっ、た?」 「怒ってない、けど…なんか辛そうだ」 そういった月宮さんは少し悲しそうな顔をしていた。

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