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第9話
『はい』
少し低めの落ち着いた声。
なんか少し…安心する
「えっと、玲緒です」
『あぁ』
「さっきは送ってくれてありがとうございました…下の名前、聞きたくて電話しちゃった 迷惑だった?」
玲緒はあらかじめ用意していた話題を広げた。
だって用もないのに電話するとか鬱陶しいって思われそうで嫌だったから。
『いやいつでもかけてきていい。名前は…唯』
「ゆい、かっこいい名前だね」
『別に…女みたいな名前であんまり好きじゃないけど...』
「すごく良い名前、だと思うよ...!.......
あのさ、好きって、言って、くれる?」
玲緒は不安になりながらもそう伝えた。
自分を肯定してくれる言葉がほしかった。
玲緒はここにいてもいいんだよ、と誰かから必要にされるような安心する言葉。
でもよくよく考えてみたら初めてあった今日、仮にも彼の恋人となったけど結構気持ち悪くて図々しいことを言っている気がしてきて、やっぱりいい そう言おうとしたその時だった、
『…好きだよ玲緒 あんまり無理するな』
「っ…ありが、と…ぅ」
『…おい…泣くな』
「別に、泣いてないけど!!!」
『ふっ、また連絡する。ゆっくり休め』
「うん。おやすみなさい」
少し気持ちが落ち着いてベッドに横になった。
俺は兄貴へのこの気持ちを忘れることができるのかな、
忘れなければいけないんだ。
月宮という突然現れた存在。
最初は組の名前を聞いた時、正直すごく驚いた。
だけど月宮は悪い人じゃないような気がして、むしろ受け入れようとすらしている。
頭がぐるぐるする。
なんか眠い、いいやもう寝よう
明日は何か変わるかなぁ
変わるといいなぁ
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