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「綺麗な色だね」
「これ? プラチナアッシュっていうんだって」
「ふぅん」
「だけどさ、なんでまた」
いきなり髪を洗いたい、なんて。
ホテルのバスルーム、白いバスタブの縁に両腕を乗せた素っ裸の壱也。
その頭は泡だらけだ。
作業着の手足の袖を捲り、裸足の吉崎は、すでに手錠を外した両手で彼の髪を熱心に洗っていた。
「痒いところ、ない?」
「ないよ……気持ちい……」
「ここで寝たら駄目だよ、壱也君」
「……ん……」
目を瞑って吉崎の両手を感じていたら瞼の裏をいろんな記憶が過ぎった。
それは毎晩眠る前に脳裏に押し寄せてきたもの。
もしくは忘れられていた些細なもの。
「壱也君、寝ちゃ駄目だよ」
ああ、やっと俺は。
「あんたに追い着いたんだ」
「え?」
聞き返した吉崎の腕を壱也は掴んだ。
そのまま、ぬるま湯の中に引っ張り込む。
よって作業着姿のまま吉崎は否応なしに入浴する羽目に。
「……壱也君」
「俺を攫って監禁したお返しだよ」
そう囁いて、呆れながらも笑う吉崎を逃さないよう、壱也はきつく彼を抱きしめた。
end
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