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制服もそのままに壱也は吉崎に熱源を捧げた。
「あ……はぁ……」
際どい締めつけと上擦る吉崎の声に頭が朦朧となる。
途中まで沈めると、シーツに両手を突いて、喘ぎそうになる息を整えた。
「……もっと、いいよ?」
掠れた声が届く。
目を閉じていた壱也は吉崎を見た。
少し上背があったはずの彼は、今、壱也に完全に覆われていた。
窮屈な奥を目指して壱也はさらに進む。
絡みつく熱もつ肉膜に、やはり、呼吸が乱れた。
「あ」
壱也の全てをその身に迎え入れた吉崎は仰け反った。
艶やかな首筋に中てられて、壱也は、柔らかな急所に音を立てて口づける。
「……なま、え」
呻くように紡がれた壱也の声に吉崎は瞬きする。
「なまえ……呼んでもい……?」
首筋に顔を埋めたままの壱也に吉崎は笑いかけた。
頭上に追いやっていた両手を伸ばすと、腕の輪に壱也の頭を潜らせ、囁く。
「僕を呼んで……壱也君」
両足を脇腹に絡ませて、腰を揺らめかせ、より濃密に壱也と交わるように動く。
吉崎に促されて壱也も抽挿を始めた。
「充……さん……充さん……!」
欲望に急き立てられた壱也は夢中になって律動する。
ベッドが軋んだ。
突き上げられる度に迸りそうになる嬌声を殺し、吉崎は、きつく目を瞑る。
点滅する脳裏に浮かび上がるのは自分が監禁していた少年か。
葉桜の舞う並木道を背にして音楽を聞きながら歩いていた彼か。
「充さん……好きだよ……」
吉崎は目を開けた。
再び、涙が、こめかみに落ちた。
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