5 / 9

第5話

「君、大丈夫?」 そう言って蹲っている僕に誰かが手を伸ばしてきた。 えっ、と思わず顔を上げる。 そこには顔の整った、背の高い男………と、さっきから黄色い声を上げている女の子達。 ほら、と言って男は僕の手を引く。 バシッ… 急なことに驚いて手を払ってしまった。 ハッとして前を向くと、何とも気まずそうな顔をする男と、あからさまに僕を睨む女の子達。 さいてー、折角親切にしてやってんのに 陰キャじゃん と罵られてしまった。でもこんなこと日常茶飯事な事で、あまりダメージは喰らわない。 すみません、と言って立ち去ろうとした時、 「君達いつからいたの?」 と、先程と変わらない口調だったが、どこか棘を感じる言葉が聞こえた。 もうただ怖くて怖くて、早足でその場を後にする。

ともだちにシェアしよう!