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第6話
「もう、どっか行っちゃったから心配したよ」
先程とは違う爽やかな声が後から聞こえてくる。
女の子達の声はもうしない。
「……今君が進んで行こうとしてた道、不良の溜まり場だよ?」
ヒッ、と情けない声が出る。
もう僕は半泣き状態で、その人に縋るように
「あの…っ、み、道教えてください……」
うん!と笑顔でキラキラオーラを放ちながら僕の手を引く。
通りすがりの人達はみんな見蕩れていたけど、
俺にはその笑顔がとても嘘くさかった。
こいつ、取っかえ引っ変えする危ないヤツ
と僕の中で勝手に妄想していた。
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