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君が好きなんだ.1
悟は、友人の翔、翼とお昼を食べに来ている。
「悟は、最近なんかあった?」
「なにも」
「彼氏とで―としたとか」
「…だから、なにもないって」
「彼氏も忙しいんかね」
「知らない。そろそろ俺に飽きたとかじゃねーの」
「それはないって」
「そんなん分かんないだろ。…トイレいってくる」
「はいはい」
「あのさ、俺この前悟の彼氏が女といるの見たんだよね」
「は?それ、どこで」
「繁華街」
「お前それ、悟の前で言うなよ」
「…翔、それほんと?」
「あ、いや、俺の見間違えかもしんないしさ」
「優一、最近、帰ってくるのも遅くて、外でごはん食べてきて…」
悟の瞳にボタボタと涙が溢れる。
「悟、1回座ろう?」
「…うん」
「ね、翔の気のせいかもしれないんだから」
「そう、俺の気のせい」
「気のせいじゃなかったら?」
「いや、ほんとに、彼にかぎってそれはな、い」
ふと外を見た翼が言葉を詰まらせる。
つられて翔も外を見た。
「、あ…」
「なに、二人で」
そう言って悟も外を見る。
「…ゆう、いち」
道路の向こうに悟の彼氏、優一が悟の知らない女といた。
「……俺、帰る」
「あ、悟!」
帰ると言っても、悟と優一は一緒に住んでいるから、家に帰ると優一に出会ってしまう。
今、自分はどんな酷い顔をしているのかは分からない、帰る場所もない。
そうやってふらふら歩いていたら、人とぶつかってしまった。
「わああ、ごめんなさい‼」
「…すみません」
「ん?あれ?悟さん?」
そう言われ顔をあげると、優一の弟、陽がいた
「陽、くん。部活かな?お疲れ様」
にっこり笑って彼にそう告げた。
「悟さんどうしたの、その顔。泣いてた?兄さんと何かあったの?泣かないで、俺が話聞いてあげる。俺の家にいこう?」
そう言われ、悟はおとなしく陽についていった。
何度か来たことのある家
ガチャ
「かあさーん、ただいまー!悟さんきたよー」
「あらー、お帰りなさーい。悟くんも、いらっしゃい」
「…急に、すみません。やっぱり俺、帰ります……」
「だめだよ!悟さんはこれから俺とお話ししなきゃいけないんだから!」
そう言われて手を引かれて、陽の部屋までつれていかれた。
陽に何があったかを聞かれ、先程のことを話した。
「兄さん最低‼悟さん泣かせるなんて、俺の兄さんじゃない!こんなきれいな人がいるのに……」
悟の瞳からは、涙がボロボロとこぼれる。
「だめだよ。目、こすったら腫れちゃう。ね、悟さん。しばらくうちに泊まらない?」
「…いいの?迷惑じゃない?」
「いいよ。きっと母さんもいいって言うよ。みんな大歓迎だよ。俺たち家族だもんね」
「…うん、あり、がとう」
こうして、悟は池内家に泊まることとなった。
3人で話しているうちに、凜が帰ってきた。
時刻は18:00
「ただいま、母さん。誰かお客さん?」
「…凜君、お邪魔しています」
「悟さんかぁ。いらっしゃい。兄さんは?」
「凜兄、それだめ!いまだめ!あ、悟さん、泣かないで、ね?おやつ、おやつ食べよう?」
「ふふふっ、夕飯前だからダメよ~」
「え、なに、何事?悟さん、ごめんね。」
そう言って、凜は悟の涙をぬぐう。
「そろそろ、ごはんの準備をしましょうね」
「あ、俺、手伝います」
「あら~、嬉しいわ!でも、もう温めるだけなのよ。…スープでもつくってもらおうかしら」
「はい」
夜ご飯は、ポトフらしい。
悟が、卵スープを作っていると敬一も帰ってきた。
「おや、悟くん。いらっしゃい。ゆっくりしていきな」
「ありがとうございます」
ごはんも炊けて、食卓を囲む。
「今日のスープは、悟くんが作ったのよ~」
「美味しいよ」
誉められて、悟は少し笑顔になった。
お風呂にもはいり、泣き疲れたのか眠気が悟を襲った。
「悟さん、寝る?俺の部屋、使っていいよ。俺は兄さんの部屋使うから」
「…うん、ねる」
「おやすみなさい」
凜は悟を自分の部屋まで送り、陽を呼んだ。
「父さん、母さん、陽、家族会議をしよう」
陽はこれまでの経緯を話した。
はなと敬一と陽は悟のフォロー、凜は優一のことを調べる、ということで話がついた。
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