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君が好きなんだ.2
「悟、ただいま。…悟?」
夜、家に帰ると悟はまだ帰ってきていなかった。
友人とランチにいくといっていたので、もう帰ってきていてもおかしくないはずだ。
共通の友達に連絡をしてみると、知らないと返ってきた。
「俺、なんかした?」
確かに最近、帰りは遅くなってるし夕飯も外で食べることが多くなっている。
それだけ、それだけのことで家出?
「俺、嫌われた?」
その日、優一は寝ずに悟の帰りを待った。
「悟、おはよう…」
そんな生活が2日続いた。
悟には家族がいないから、行くあてなんてないはずだ。
そんなことを考えながら、外を探し歩く。
「あれ、悟の彼氏さん」
「ん、ああ、翔さん」
「どうしました?元気ないですね」
「……悟、知りませんか?」
「悟?知りませんよ。どうかしたんですか?」
「悟が、帰ってこないんです。なにか、知りませんか?」
「え、あー、とりあえずどこかに入りませんか?目立ちますし」
「…そうですね」
二人は近くにあるカフェに入った。
「それで、悟のことなんですけど…」
「俺らでごはん食べたときは、帰るっていってました」
「なにか、心当たりは」
「……あ。いや、でも…」
「なんですか?」
「いや。…優一さんは何でそこまで必死になっているんですか?」
「何でって、悟は俺の恋人だ」
「じゃあこの前一緒にいた女性は?」
「は?女性?俺が…?女…。……あ!」
「悟がかわいそうだ。あなたが女性といるのを見て、悟は泣きながら帰っていった。どこに行ったのかは俺は知りません」
「あれは、あの人は女性じゃないんです」
「何を言っているんですか」
「あれは俺の友達で、男なんです。彼は宝石店のオーナーで、悟に似合う指輪がないか探していて…。少し仕事を増やして、夜に彼と相談していたんです」
「えー、えーと…それ俺が聞いちゃっていいんですか?」
「もうこの際、悟が見つかるならいいです…」
「他に探してない場所とか、灯台もと暗し的な、彼の家族とか…。あぁ、悟が独りなのは知ってますよ」
「じゃあ家族って、家族…。俺の?」
「かもしれないですよね~」
優一はガタンッと音をたてて立ち上がった。
「ありがとうございます‼」
そう叫んでお金をおいて出ていった。
「まじか……」
と、あとをつけていた凜
『陽、兄さんそっち行く』
『えええええ!まじか。頑張る』
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