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君が好きなんだ.3
「悟さん、兄さん来るって」
「優一が…?」
「うん」
「嫌、会いたくない」
「うん、そうだね。俺の部屋行っててね」
そう言って、陽は悟の靴も部屋に持っていった。
ガチャガチャ
ガチャン
「母さん、悟は」
「ただいまは?」
「…ただいま。悟は」
「残念だけど、うちには来てないわよ」
「陽」
「兄さん顔が怖い。そんなんだから悟さんに逃げられちゃうんだよ」
「ただいまー」
「おかえり、凜兄」
「ただいま。兄さんも、おかえりなさい」
「…あぁ」
「ねぇ兄さん、俺とはなそうよ」
「単刀直入に、悟さんのことなんだけど、悟さんはうちにいる」
「、っ!どこに!」
「でも今の兄さんには返せない」
「なんで!」
「だって、冷静に会話できないでしょ。さっきのお店の会話聞いてたけど、あれほんと?」
「ああ。指輪も買ってある」
「でもさ、それのせいで悟さんのこと不安にさせちゃってたんだよ?悟さんはずっと夜一人で待ってたんだよ、一人の家で。夜ご飯だって作ってたんじゃない?」
「…作ってあった」
「なんでちゃんと言わなかったの。わかるよ、びっくりさせたかったんだよね、でもさ、やっぱりそれで悟さんのこと泣かせたら意味がないよね」
「……」
凜の言うことはごもっともである。
「じゃあ、どうしろって言うんだよ…」
「とりあえず、今日は1回帰って。そんで、プロポーズの準備でもなんでもして、明日来て」
「は?こんな状態でそんなことしたら、悟に嫌われるかもしれないだろ」
「大丈夫。悟さんは兄さんのこと大好きだから」
「なんでお前にそれが「いいから」」
そう凜に言い切られ、優一は1回帰ることにした。
悟の作る料理は、すべて優一の好みに合わせたものだった。
カチャリ
「悟さん、兄さん帰ったよ」
「…うん。ありがとう」
「陽も、とっさの対応ありがとうな」
「悟さんのためだもん!」
その後凜と優一は連絡を取り合い、翌日のことを決めた。
そう明日は、悟と優一が付き合い始めた記念日
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