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君が好きなんだ.4
翌日、悟は大学帰りの凜と待ち合わせることになっていた。
「お待たせ」
優一の声
世界で一番優しくて、悟のための声
スーツを着た優一が、そこにはいた。
「凜くん、は?」
「ごめんな、凜に手伝ってもらったんだ。どうしても、悟に会いたくて」
「俺、凜くんにも騙されたの?」
「凜を責めないでほしい。俺が頼んだんだから」
「なんで?優一、彼女は?俺なんかより、彼女と遊んできなよ」
「悟、話を聞いて」
「やだ」
「お願い」
「やだ!」
年甲斐もなく大声を出して、周りに見られていることに気づく。
「悟、俺と結婚してください」
そう言って膝をつき、指輪を差し出す。
一度溢れた涙は止まらない。
悟の瞳からはボロボロと大粒の涙
「なんで、かのじょは?」
「あれは男だ。悟に似合うものを取り扱っていないか相談していたんだ。俺には悟しかいない。信じてくれ」
「だって、だって……!」
「お前しかいない。悟が好きなんだ。俺と家族になってよ」
悟の中で、答えは決まっていた。
何があっても大好きな人
結局諦められなかった、大好きな人
自分を支えてくれたのは優一
泣きながら、指輪を受け取った。
その場で抱きつき、拍手が起こった。
見られていることなんてどうでもよくなっていた。
君が好きなんだ
-fin-
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