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何気ない朝。

鼻をくすぐる朝食の匂い。 近づいてくる足音、扉が開く音。 そして、その後に聞こえる優しい声。 「真月、朝だよ。ほら、起きて。」 姫は王子様の口づけで目を覚ます。 昔どこかで読んだ物語のハッピーエンド。 他の人が見たら茶番だと笑うかもしれない。 たかがそんなことで、と思うかもしれない。 でも、そんなことが幸せだから仕方ない。 「ん…おはよ、陽樹…」 声の主の名前を呼ぶと、もう一度重なる唇。 それは甘く優しく溶けていく。 「朝ごはん、用意してあるから着替えておいで。」 唇を離し、優しく真月の頭を撫でながら陽樹は言う。 真月が軽く頷くと、陽樹は微笑みながら部屋を後にする。 何気ない、そんなやりとりを毎日していても 飽きることはなく、幸せが満ち溢れて行く。 これから先もずっと、何があっても。 キミと笑顔でいられますように。

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