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after

愛しい彼が僕の隣ですやすやと寝息を立てている。 美しく、可憐な彼。 もう少し早く出逢えていれば僕達は正真正銘の番になれていた。 けれど、運命というのは一筋縄ではいかなかった。 でも、最近はこれで良かったと思っている自分に驚いた。 鈴が手に入ったことは勿論、シュウがいることで生まれる斬新なアイディアもある。 我社は発展の一途を順調に進んでいる。 今後もこの調子なら安泰だ。 「…ぃ…ぅ……。」 「あぁ、のどが渇いたんだね。」 鈴は子音が喋れないが、それで困ることは無い。僕と鈴とシュウの意思疎通は他者には分かるはずもないくらい通じている。 僕は水を口に含み、鈴へ流し込む。 それと同時に舌も絡めとると、鈴は目をとろんとさせ、息を少し荒らげる。 鈴は身体が異常に弱くなった。 ___もしかしたら10年後にはここには居ないかもしれない。 そうなれば僕達はどうなるのだろうか? シュウは廃人と化すのだろうな。 僕は____ 「鈴……?起きたの?」 駄犬もつられて起きたのか。 「あぁ。水が欲しかったらしい。今は目を瞑っている。」 「そうか………。」 トボトボと僕達のベッドに近づいてくる。 シュウは僕達の隣のシングルベッドで寝かせている。 「この生活からもう抜け出せないな。」 急にシュウが喋りだしたから驚く。 「今までは鈴がどこか行ってしまうのじゃないかと只々不安で仕方なかった。けど、そんな不安今は全く無い。鈴への愛情が溢れてくる。極上の時間だよ。」 「まぁ、そうだな。あり得ないだろうけど、もし逃げ出そうとしたら足の腱を切るな。間違いなく。」 僕達はお互い顔を見合わせる。 2人……いや、3人とも歪んでいる。 この状況を甘んじて受け入れる鈴。 この状況を歓喜している秀。 そして、この状況を作り出した僕。 番という首輪が外れたとき___ 野良となった彼は新しい飼い主に飼われることになった。 そして、元飼い主は彼にいつ捨てられるかわからないペットに成り下がった。 __それは歪んだ愛の始まり。___

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